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七月のなまけもの
七月のなまけもの

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2026年3月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

昨日の #雪が解けて春になる 漫画ですが、ヒオウの服の襟を盛大にコマごとに間違えてることに気づきました!
記憶力無いとこれだよ!! 髪の毛はできるだけ同じになるように注意してたのに! 椅子や窓の高さもなんとなく考えてたのに!!

いうて、昔漫画を描いていた頃は、パースとか遠近法とかバランスとか、なーんも考えずに勢いで描いてたし、「引きの絵を描くといいですよ」とアドバイスをいただいたので、精進します。

精進するほどまた漫画を描くの???

ひとりごと2026年,創作

3/10から、雪春の漫画なんて突然描き始めていました。
習作文章を4ページに抜き出したのですが、小説とマンガのセリフ量の差よ! かなり削りました。
表現が変わると取捨選択も変わるの面白い~!

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#アルファズル戦記
#雪が解けて春になる

ひとりごと2026年,創作,マンガ

また日記の日が空いた!!

いや、最近創作意欲がメキメキしておりまして。朝活まで楽しくやっております。
だらだらと動画を見るよりメリハリがつくし、今は文章でなくてお絵描きのターンなので、進捗が目に映っていいですね。左向きが変なのは直せていないですが……。

人様に見せるつもりの無い、自分で楽しむ範囲で描いていたのですが、折角ここまで描いたので、完成したら公開します。はい公開します!

日記,ひとりごと2026年,創作

『灰になるまで君を呼ぶ』03/01~03/10
#語彙トレ2026 3月上旬です。
まだ3月ですが、灰君はクライマックスに向かっています。

前回→618

03/01-撹拌
「ディックス!」
「無事だったか!」
「ったく、悪運はいいよなお前も」
 マオと共にエンリルに乗り込むと、LINKSの同志達が出迎え、ばしばし叩いてきた。狸に拘束されたはずではなかったかと思うが、ギルガメッシュの機械化を思えば、留置所の鍵を無効化するのも朝飯前だろう。
「俺達も行くぜ、あの狸とエンリケの野郎をぶっ飛ばしによ」
 頼もしい同僚達に笑い返した時。
 ごう、と炎が窓の外をなめ、さっきまでいた町を一瞬にして火の海にした。
 人も建物も溶け、まるでクリームのように撹拌されてどろどろの大地になる。その上を、『終焉の獣』アヌナークが飛び去っていった。

03/02-萌芽
 行く先の大地を焼き尽くしながら、アヌナークはアサル=アリムへ向かって飛んでゆく。幸い、武器を搭載せずに御せる分、エンリルの方が速く飛べるので、破壊の萌芽がヴァルファレスを覆う前に、首都に帰りついて、大統領の手からレイティス達を取り戻さなくてはならない。
 彼女はアグレイシアとの和平の為に必要な存在だ。決して失われてはならない。
 それと同じくらい、ティナは自分の中で深く根を張っている。家族に恵まれなかった彼女には、もう自分しかいない。次に手を握ったら、もう二度と手を離さない。
 決意するディックスの視界に、アヌナークの接近で混乱する首都が見えてきた。

03/03-爛漫
 摩天楼が並び立ち、その輝きから『爛漫の夜景』と呼ばれた、アサル=アリム首都ヴァルファレスは、混乱の極みにあった。誰もが破壊兵器の接近に混乱に陥り、首都を脱出しようと押し合い圧し合い、老人が踏み潰され、親とはぐれた子供が人波に流されるのが、エンリルの窓からでも見える。
 混沌の極みを眼下に見ながら、エンリルはただひとつの建物を目指して飛ぶ。
 ヴォルフ大統領が君臨する、エヴァータワーを。
『最上階に着けるぞ』
 脳を組み込まれたギルガメッシュが、エンリル内に響き渡る機械音声で告げれば、LINKSの誰もが、手を叩いて喝采の嵐を巻き起こした。

03/04-朧
 強化ガラス越しに朧気に見える満月を、革張りチェアに座りながら見上げて、ヴォルフ大統領はぷかぷかと葉巻をふかしていた。やがて振り向く先には、エンリケに銃を突きつけられたレイティスと、その後ろに、顔色の悪いティナがいる。
「簡単なことですよ、皇女殿下」
 でっぷりとした体を持ち上げ、レイティスの鼻先に葉巻を突き付ける。
「皇国と連絡を取る手段はお持ちでしょう? 貴女の騎士に、宰相を通して敗北宣言一言お願いします、と言えば、この戦いは終わる」
「終わりません」
 皇女は強い目力で見返す。
「あなた方権力者の起こした戦は、ただの破壊行動です」

03/05-予兆
 大統領の顔が醜く歪んだ。葉巻の火をレイティスに押し付けようとした瞬間、ティナが咄嗟に腕を割り込ませて、そこで火を受けた。兵服が焦げて肌にも確実に火傷を負ったはずなのに、苦痛ひとつ見せない。それには、大統領もエンリケも唖然とする。
 さらには、駆動音が強化ガラス越しに聞こえてくる。
 それを予兆に、ガラスを破る大轟音が響いて、『鋼鉄の鳥』エンリルがエヴァータワーの最上階に突っ込んできた。
「レイティス!」
 仰天して腰を抜かす大統領にも、呆気に取られるエンリケにも構わず、搭乗口から身を乗り出してディックスは叫んだ。
「ティナも! 一緒に来い!!」

03/06-孤独
 ずっと独りだと思っていた。
 父に愛されず、周囲からは敬遠され、兵士達と出撃しても距離を取られた。
 孤独の中で、独り心まで凍りついて、人生を終えるのだと思っていた。
 それなのに。
「ティナ!」
 その身に始祖種の血を宿した幼馴染は、炎のように情熱的に自分の名を呼び、手を伸ばすのだ。
 まるで、灰になって燃え尽きても構わないと。その灰の中から、伝説の不死鳥のごとく蘇ってみせようとばかりに。
 手を伸ばそうとしたところに、エンリケが銃を向ける。一睨みでその手ごと氷結させる。
 レイティスが『鋼鉄の鳥』に乗り込む。それに続けば、しっかりと抱き締められた。

03/07-幻視
 皇女とその護衛を連れて、『鋼鉄の鳥』がエヴァータワーから飛び去る。びょうびょうと高層の風が吹き込む中、エンリケは、へたり込んで変な笑いを漏らし続ける大統領に目を向けた。
「は……はは……。儂が三国を……マルディアスを……」
 葉巻が手からぽろりとこぼれ落ちる。最早彼は、自分が覇者になる、ありえない未来を幻視して、エンリケのことどころか、現実も見えていないだろう。
 砕けたガラスのカンバスに、『終焉の獣』アヌナークが大写しになる。大統領は、迫る死を認めず笑っている。
 これが裏切り者の末路か。
 エンリケの凍った手が砕け落ち、アヌナークが火を吹いた。

03/08-散逸
 アヌナークは『終焉の獣』さながら、ヴァルファレスに破壊をもたらした。地面が燃え、建物が溶けて、人々が逃げ惑う。国軍の将は散逸した兵を引き留めようと必死だが、人の力の及ばぬ獣の前には無力だった。
「ギル」
 ディックスは銃に弾込めをしながら、養父に呼びかける。
「皇女の言葉を三国救難チャンネルで。その間に俺がアヌナークに乗り込んで、姉さんを」
 言いさして一瞬目を閉じ、無邪気に笑っていた赤髪の少女の幻を振り払う。
「アヌナークの核を撃つ」
『……わかった』
 こちらの覚悟を受け取ってくれたのだろう。アンドロイドの養父はこくりと頷いた。

03/09-瓦解
「ディックス」
 冷たい手が、銃を握る手の甲に触れた。
「私も行く。炎のヴァーンの加護を受けるアヌナークには、私の力が効くかもしれない」
 ティナはあくまで淡々と語る。正直なところ、彼女を死地に同行させたくはない。ティナには、日の当たる場所で穏やかに笑っていて欲しい。
 彼女が一人でそれをすることを望まないと知っているから、ディックスは溜息ひとつ落とし、幼馴染の黒い瞳を見つめる。
「俺から離れるなよ」
 ティナが軽く頷く。
『お前達が失敗すれば、全てが瓦解し、マルディアスは滅びる。心しろ』
 ギルガメッシュが告げる中、エンリルはアヌナークに接近した。

03/10-煽情
『アグレイシアの皆さん、今こそ反撃の時です』
 艶を帯びた煽情的な声がラジオから聞こえる。違う。彼女はこんな、女を武器にした媚びるような喋り方をしない。
『ジュメールはアサル=アリムと共謀して破壊兵器を持ち出し、天罰を食らいました。正義は我々にあるのです。アグレイシアこそが、マルディアスの頂点に立つべく、皆さんのお力を貸してください』
 彼女と全く違う容姿の女性が放送機器に向かって語るのを、ブリームがにやにやと満足げに見守っている。
 いっそここで斬り捨てられたら。歯痒さを噛み締めていると。
『皆さん、騙されないでください』
 凛とした声が割り込んだ。畳む


#アルファズル戦記
#灰になるまで君を呼ぶ

創作,小説

FF14のサブに雪春のゼファーを作り、リテイナーにヒオウを雇い、なんとなくサイエンティスト装備にリムレスグラスを合わせたら、本編ヒオウに裏設定がひとつ爆誕しました。
本編前のことですが、秋に発行予定の異聞録に収録される話を含むので、ネタバレとして畳みます。

ヒオウは本編で、兄ヴァーリを諫めるのに失敗して国を追われ、命を狙われている、というのは上巻の人物紹介にも書きましたが、異聞録でこの辺りを掘り下げた話を収録します。
その時、ヴァーリにかなりの暴力を振るわれました。
……で、ここでFF14の眼鏡が作用しまして、
「この時に視神経がやられて、眼鏡をかけないと細かい文字が読めなくなっている」
という裏設定が爆誕しました。
報告書とか、手元の文字がぼやけるだけで、他の視力や色覚は正常なので、日常生活や戦闘に支障はありません。公開予定の無い習作では、ゼファーの銀髪金瞳もきちんと見えると言って、ゼファーをときめかせています。この天然たらし王子……。

この辺り漫画で描けて見られたら嬉しいな~わたしが!! と思っているんですが、画力が足りないので、一人で楽しむ習作文章にした次第です。
しっかし、どんどんヒオウにひどい設定が積まれていくので、彼もたつみ村ヒーローとして立派(?)になってきたな……とつくづく思います。
後乗せで積むの、アルファズルのクレテスとアッシュとか、FOのミサク並ですね!?畳む


#アルファズル戦記
#雪が解けて春になる

日記,ひとりごと2026年,創作

2026年2月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

『灰になるまで君を呼ぶ』02/21~02/28まとめ。
#語彙トレ2026 2月下旬分です。
恋も破壊もたつみ節が勢いづいてきました。
ていうか……2月が……終わるだと……!?

前回→613
続き→624

02/21-憧憬
 熱と冷気が、決して混じり合うこと無く、しかししっかりと手を繋いでいる。
「私は、ミランダ姉さんが羨ましかったのだと思う」
 他人事のように淡々と、幼馴染は憧憬を語る。
「姉弟というだけで、あなたと深い繋がりを持っていたから。私は、父にも愛されていなかったから」
 否定できない。シュミット博士は、己が娘のことも、異能の実験台としか見ていなかったから。
 だが、だからこそ、伝えなくてはいけない。
「俺がいる」
 強く手を握り込む。
「お前の感情まで凍っても、いくらでも呼んでやる」
 無感情だった瞳に光が宿る。
 熱と冷気を交換するかのように、くちづけた。

02/22-虚無
 夜が更けて、ディックスたちは宿に戻った。部屋では、しゃんとしたレイティスと、何だか不機嫌そうなマオが待っていた。
「ギルに連絡を取る。迎えがくるはずだから、しばらく待っててくれ」
 イヤホン式のLINKS通信端末でギルガメッシュを呼び出す。しかし、いつまで経っても応答が無い。いぶかしんだ時。
「LINKS本部は大統領府の管轄下に入ったぜ」
 軽い調子で、しかし驚くべき事実を告げながら、入ってくる男がいた。
「エンリケ……?」
 同僚は笑っている。しかし、虚無の底のような感情の死んだ瞳で、銃口をこちらに向けながら。
「レイティス皇女にご同行願おうか」

02/23-煽動
「ヴォルフ大統領、いや、父上のご命令だよ。LINKSは応じなかったから、隊員は拘束させてもらった。隊長は逃げおおせたがね」
 衝撃が走る。僚友だと思っていた男は、あの狸の子飼いだったのか。
「アグレイシアとジュメールとは、徹底抗戦に入る。民衆も父上の演説に沸き立ったよ」
 愚かな煽動に愚かな民が誘導されたのか。ひとつ息をついて、銃を抜く。
 ふたつの銃声が、夜更けの裏通りを突き抜ける。
 ディックスの弾はわざとエンリケを外した。だが、友と信じていた男は、こちらを撃つ気満々だったろう。しかし、痛みは感じない。なのに、床に血の池が広がった。

02/24-収束
 目の前の光景を否定しかけた。ティナが床に横たわっている。その下から、赤いものが流れ落ちている。
「急所は外したか」
 エンリケが、さしたることは無さそうに吐き捨てて、改めてレイティスに銃口を向ける。
「皇女様。貴女が来て、敗北宣言ひとつしてくれれば、アグレイシアとは共同戦線を張れるんですよ。アヌナークの光線が収束して焼くのは、そっちの国の兵士だけどね」
「ギルがそんな事を許すはず」「LINKSはもう存在しないんだよ」
 銃声がして、頬をかすめる。エンリケはこちらを撃つ事に躊躇いが無い。
 やるしかないのか。逡巡した時、ティナがふらりと立ち上がった。

02/25-渺茫
「ディックスは殺させない」
 血に染まった脇腹をおさえながら、ティナは変わらぬ淡々とした声を張る。見れば彼女の傷口は凍って、既に血は止まっていた。
「だけど、レイティス様も見捨てられない。皇女様の身の安全のために、わたしもついてゆく」
「自分から人質を増やしてくれるとは、よくできた部下だな、皇女様?」
 エンリケの嘲弄に、レイティスは唇を噛む。
「ディックスとガキは動くな。女二人だけ来い」
 銃を向けたままエンリケが手招きするのに従い、レイティスとティナは部屋を出てゆく。皇女が去り際に何か口を動かした。
 取り残された二人は、前途渺茫のまま、立ち尽くして。

02/26-慟哭
 ふらりとよろめいて、尻餅をつくようにベッドに座り込む。
「何やってんだよ、兄ちゃん!」
 マオが涙目で食いついてきた。
「悔しくないのかよ!? 二人を助けに行かないのかよ!?」
 言われて色んな考えが巡る。
 姉をジュメールに奪われたこと。ティナがいなくなったこと。ギルガメッシュの顔を思い出せないこと。エンリケに裏切られたこと。
「……悔しいに決まってるだろ」
 拳を握り締めれば、ぽたり、と涙が落ちる。自分のものだと気づけば、感情の渦は逆巻いて止まらなかった。
 慟哭が迸る。
 本当はずっと泣きたかった。奪われたくなかった。
 子供のように、泣き叫んだ。

02/27-逡巡
「兄ちゃん!」
 マオが握り拳を作って訴えかけてくる。
「レティ達を助けにいこう! 兄ちゃんならできるだろ!?」
 少年の言葉に迷う。ティナは自分よりレイティスを選んだ。ここから先は、あの狸とアグレイシアの戦いではないだろうか。自分の出番は、もう無いのではないか。
 遅疑逡巡するディックスに、マオが苛立って殴りかかろうとした時。
『ディックス、待たせたな』
 行方不明のはずのギルガメッシュの機械的な声が、通信機に届く。
 かと思うと、駆動音と共に窓の外がにわかに暗くなり、鳥の姿を持つ『鋼鉄の獣』が現れたことに驚き戸惑う人々のどよめきが聞こえた。

02/28-胎動
『心配をかけたな』
 宿に姿を現したのは、精巧なアンドロイドだった。抜け落ちていた記憶のピースがかちりとはまる。
 そうだ。ギルガメッシュは深傷を負い、シュミット博士の腕前で、体をまるごと機械に入れ替えた。そして脳を、LINKSが唯一保有する『鋼鉄の鳥』エンリルを制御するために、機体の中枢に埋め込んだのだ。
 だから、エンリルを今動かしているのは。
『立て、ディックス。アサル=アリムへ戻るぞ。アヌナークが、マルディアスを焼き尽くす前に』
 決戦に向けた胎動が始まったのを感じる。
 一度だけ顔をうつむける。たが。
「了解」
 不敵な笑顔で養父を見上げた。畳む


#アルファズル戦記
#灰になるまで君を呼ぶ

創作,小説

昨日のコミティア155お疲れさまでした!
暖かかったからか、人出が普段の冬ティアより多かった気がします。
去年の秋ティアでお会いできなかったかたがたにもお会いできましたし。

そして『雪が解けて春になる』と一緒に、アバロンの概念アクセがもらわれていったので、ワイヤーアクセをもう少し作ろうかと思います。5月の文フリで、アルファズルキャラ概念アクセをもっと持っていきたいなと。
ちょっと年度末から年度初めまで、私生活に余裕を割けなくなる期間があるので、今のうちにやりたいことをやっておきたいです。

しっかし、お夕飯にしゃぶしゃぶを食べたら、一晩で1kg増えたのにはびっくりしました。カレーにお肉がゴロッゴロで美味しくて、おかわりしちゃったのがあかんのだよ!

日記,ひとりごと2026年,創作,イベント

『灰になるまで君を呼ぶ』02/11~02/20
#語彙トレ2026 2月中旬分です。嵐の前の静けさにするつもりが、勢い良く滅びが始まりました。

前回→606
続き→618

02/11-昏倒
「ありがとう、おねえちゃん!」
 母の形見を胸に、精一杯手を振り笑顔で去ってゆく少女を見送りながら、マオは思考に沈む。
 ジュメールの全てが悪ではない。同じように、三国のどこかで、誰かがひとを救って、誰かが罪を犯している。
(おれにできることって、何だろう)
 非力な少年は思い悩む。
 その傍らで無感情に少女を見送っていたティナが、不意に膝を折って倒れ込んだ。
「おい!?」
 昏倒した彼女にとりすがると、体が酷く冷たい。まるでディックスの逆のように。
 どうすれば良いのか。泣き出しそうになった時、背後からそっと伸ばされる、熱を帯びた手があった。

02/12-呪縛
「心配しないで」
 知らないけれど、誰かを想起させる声が耳を撫でる。
「シュミット博士がこの子に課した呪縛よ。ひとを傷つける以外に力を使うことを許さないの」
 何故そんなことを知っているのか。振りあおげば、赤銀髪を高い位置でとめた、赤い瞳の女性が、ティナに手をかざしている。その手は熱を持ち、冷えた体を温めていた。
「私も同じ。ビザーリムの研究者たちに、ひとをあやめる力を強化されている」
 求めていた場所の名が出てきたことに目を真ん丸くするマオに、女性は哀しげに目を細めた。
「私はアヌナークに支配されている。ほんの少しの時間しか、意思が自由にならない」

02/13-歪曲
「ビザーリム研究所は、いえ、ジュメールは、この世界の理を歪曲させた」
 ティナの体を温めながら、女性はとつとつと語る。ティナも無感情だが、このひとも喜怒哀楽が感じられない。
「『鋼鉄の獣』に武器を搭載してはならない。必ず暴走して、マルディアスを破壊する。その摂理に逆らった」
 なんだかとんでもない話を聞かされている気がする。マオが戦慄すると、女性は、ティナにかざしているのと逆の手で薬瓶を取り出し、こちらに託した。
「私以外のヴァーンを殲滅させるウィルスの特効薬よ。私の血から作っているから、弟には必ず効くはず」
 驚愕の事実を添えて。

02/14-果断
「ミランダねえさん……?」
 ティナのか細い声が、マオの驚きを更に上書きした。この二人は知り合いなのか。
「久しぶりね、ティナ」
 まだ気だるそうなティナに、ミランダと呼ばれた女性は笑みかける。しかし、不意にその眉間に皺が寄り、苦悶の声がもれる。
「そろそろ時間切れね」
 ミランダは身を起こして立ち上がり、マオとティナそれぞれに視線を送る。
「弟に、ディックスに伝えて。アヌナークを滅ぼすのは、LINKSとして育った貴方の果断次第だと」
 直後、炎がミランダを取り巻く。哀しそうに微笑んで、彼女の姿は炎と共に、その場からかき消えた。

02/15-払暁
 払暁が迫る。国境の街まで戻ってきたマオとティナは、裏通りの宿屋の一室へ駆け込んだ。すると。
「お帰りなさい」
 ディックスに傍付いていたレイティスが、すっくと立ち上がった。今までのように怯えた態度ではなく、背筋を凛と伸ばして、意思の感じられる瞳をしている。
「レティ」少年の脳裏を予感が過る。
「今はそれより、ディークの治療を」
 皇女に促されて、ディックスのもとに駆け寄り、ミランダに渡された液薬を傾ける。しかし、もう自力で嚥下する力も無く、流れ落ちる。
「飲めよ、馬鹿!」
 涙目になるマオの隣で、ティナがやおら薬を含み、ディックスに口移しした。

02/16-忘却
 血のような何かが流れ込んでくる。それと同時に、忘却の彼方にあった光景が、はっきりとした形を取り戻す。
『引き裂かれた姉弟! やがて戦い合う運命! アヌナークの潜在能力を引き出すのにうってつけの舞台装置ではないか!』
 そうだ。現ジュメール議長マルセナの父親が、姉を連れ去った。禁忌の『終焉の獣』アヌナークを御する鍵として、ヴァーンの子孫である姉弟の片割れを。
(ミランダ姉さんだ)
 その時に彼は、ギルを撃った。血を流す腹部をおさえながらも、彼はアサル=アリムに帰りつき、そして。
 そこまで思い出した時、意識が現実に回帰する。ティナの顔が間近にあった。

02/17-陶酔
 自分が昏睡状態にある間に、状況が変わっていることはわかった。
 レイティスは自我を取り戻し、ティナがマオと共に自分を救うべく奔走して、そして、生き別れの姉が、自分を助ける薬をくれたこと。
 そしてその姉ミランダこそが、十五年前、アヌナークの核としてジュメールに連れ去られたことを。
「マルセナ議長は、自分が大陸の支配者だと自己陶酔しています」
 まだ火照りの残る体をベッドの上に起こして、しゃんとしたレイティスの話を聞く。
「わたくしは、アサル=アリムに戻り、ギルガメッシュ殿に改めて和議と同盟を求めるべきだと思っております」

02/18-執着
「たちが悪いなら、アサル=アリムも同じだな」
 ディックスは苦々しく顔をしかめ、大統領のでっぷりした姿を思い出す。あの狸は、世界の覇権を握ることに執着し、いかにしてギルガメッシュとLINKSを追い落とすかに策謀を巡らせている。裏でアグレイシアともジュメールとも繋がっている可能性がある。
 どいつもこいつも、相手を出し抜くことばかりを考えて。
「一刻も早く、ギルの元へ戻って、馬鹿共を迎え撃つ準備をととえないと」
 そう言ってベッドから降りようとしたが、解熱したばかりの消耗した体は言うことを聞かない。ふらりとよろめいたところに、ティナの冷たい手が触れた。

02/19-剽悍
「ええい、まだですか! アヌナークの再起動は!?」
 マルセナはつりがちな目をさらに狐のように吊り上げて、科学者たちを叱責する。
「ヴォルフ大統領も、ブリーム宰相も、ジュメールをなめきっているのですよ! 早々に焼き尽くすべきです!」
「し、しかし」
「うるさい!」
 議長はたじろぐ科学者からタブレットを奪い、アヌナーク起動フェーズを進める。『鋼鉄の獣』に火が入り、強化ガラスの目が光る。
 直後、アヌナークは獣のごとく吼え、ケーブルを引きちぎり、炎を吐いた。
「な……ぜ?」
 剽悍な獣の暴走の前に、マルセナは笑顔で凍りついたまま、炎に包まれた。

02/20-欺瞞
「なあ」
 マオはフォークで豆をつつきながら、隣でスープをすするレイティスに呼びかける。
「いいのかよ?」
 ディックスのことだ。彼はティナと共にどこかへ行ってしまった。青年を慕っていた子供返りの頃を知っているだけに、納得がいかない。
「いいんです」
 しかし、皇女は平然と返してくるのだ。それが、彼女が遠くに行ってしまったようで、少し寂しい。
「この欺瞞に満ちた世界で生き抜くには、彼らは優しすぎる。わたくしのような為政者が、責任を負うべきです」
「なら!」
 マオは思わず声を高める。
「おれがレティを支える!」
 蒼の瞳が驚きに瞠られ、それから細められた。畳む


#アルファズル戦記
#灰になるまで君を呼ぶ

創作,小説

公募ひとつ送ったー!
さすがにいきなり長編はカロリーオーバーなので、リハビリに短編から。
長編書いてるやんけ、って言われそうだけど、趣味で書くのと公募に書くのには、やはり脳の使い方が違うので……。

まあ、通ることより、「書いて送った」という一歩を踏み出した自分をたたえます。
下読みしてくれたかたがたもありがとうございます。
一度はあったけど、また「たつみ暁」で本屋に本が並ぶ夢を見て、雪春異聞録の続きかお絵描き練習をしてきまーす!

日記,ひとりごと2026年,創作,小説

本日、『婚約破棄は違法です!(副題略)』が、くるみ舎こはく文庫様より配信されました。

………………いやー………………本当にいろんな方々のご尽力で、ここまで至りました、本当にありがとうございます。
人間独りで生きているんじゃないんだなって、本当にもう、ええ………………。

昨今の悪役令嬢婚約破棄に真っ向から逆らうようなタイトルですが、内容は、悪役令嬢(冤罪)が、美形の司祭様と恋愛したり、婚約破棄をした王子に立ち向かったりします。
後味はスッキリだと思……思います! ので、いつものたつみ村をご存知の方は、安心してお読みください! たつみ村をご存知でない方も楽しめる一作になったと思っております!

よろしくお願いいたしまーす!

日記,ひとりごと2026年,創作,小説