「デア・セドル!!」
叫びながら跳ね起きたら、目の前にはリーティアの驚いた表情があった。
……そうだ、アタシは気を失ってたんだっけ、デア・セドルのせいで……。
ゆっくりと周囲を見渡すと、そこは、フェーブル城内に用意してもらったアタシの部屋の、ベッドの上。
リーティア以外にも、フォル王様、フィー王妃様。セルマ王女に、翔平君、マルチナと美里さんまで揃っていた。
「フォレストとフェルナンドは?」
いるはずの無い二人の名を口にしてしまう。リーティアが顔を伏せ、フィー王妃様が申し訳なさそうに進み出た。
「あ、あのね、蓮子ちゃん。あの二人のことは気にしないで。本当に、いつの間にか自力で帰って来そうな子達だから……」
そんな風に言いつつも、王妃様も王様も、心底息子たちを心配しているのがありありとわかる。
それを見て、アタシの中でひとつの決意が固まっていた。
「助けに行きます」
自分でもビックリするくらい冷静に、アタシは言った。
「アタシは転移の能力も使えます。北の地へ行きます」
向こうさんから先に乗り込んできたんだ。こっちも直接本拠地に殴りこみかけ返さなきゃ、失礼ってもんよ。
不安そうな王様たちに、できるだけ安心させるように笑って、告げる。
「任せてください、必ず、二人の首根っこひっつかんで引きずってでも帰って来ますから」
「わたくしも参ります!」
リーティアがいつになく強い調子で名乗りをあげた。
「フォルティアの戦巫女様にお仕えするのは、フォルティア王女の役目。蓮子様が行かれる場所に、わたくしもついていきます!」
すると。
「まああ、リーティアったら。自分の戦巫女殿の足を率先して引っ張るおつもりですの?」
マルチナが相変わらずイヤミったらしく声をかける。アタシとリーティアが揃って睨みつけると、彼女はビラビラの扇子で口元を隠し、ホホ、と笑った。
「あなたがただけでは頼りありませんから、協力してさしあげようと言うのですよ。ねえ、美里殿?」
マルチナの言葉に、美里さんがコクリとうなずく。
「ならば、ステアだけ傍観に徹する訳にもまいりませんね」
「この世界を脅かす者の親玉のもとへ行くんです、戦巫女全員の力を合わせましょう」
セルマ王女と翔平君も、力強く。
「うん、そうだね」
あたしはベッドから降りて、一人一人の手を握った。
「行こう、みんなで」
昔お風呂で読んだ小説の中に、悪党にさらわれた異国の王子を助けに行く女の子の話、ってのがあった。
主人公の名前は、ベアトリーチェ、と言っただろうか。
彼女はスポーツカーを華麗に乗り回し、二挺拳銃ブッ放し、体術を駆使して、果敢に悪党どもと戦った。
あの頃は、こんな話現実にあるワケないって、笑い飛ばしたけど。
今が、その時だと思う。
ベアトリーチェに、アタシはなる。