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七月のなまけもの
七月のなまけもの

全年全月24日の投稿(時系列順)4件]

2024年8月 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する

書かないとな!って言いつつ、今日はどうにもめしょめしょで、美容院行って帰ってくるので精一杯でした。
ポメラ開いても(自分が)固まっちゃって何も進んでないです。
こーれーはー……確実に夏バテですね!! 涼しくなって気候気圧の変動が激しいのがおさまるまで、珍獣は大人しく丸まっておきます。

日記,ひとりごと2024年

架空ストアさんでフォークリングガチャ抽選に当たったんですが、届いたのを開封してひっくり返りました。
小さい石が緑と赤、大きい石が銀と青で、完全に『アルテアの魔女』のインエレ概念リングです!
エレの髪は『赤銀髪』と表現するし、インシオンの黒髪は青基調で塗るので。
「まさかそんな偶然あるわけないよ~ハハハハァ!!(びっくりした)」
になりました。
ガチャ運こんなとこで使うとは……。でも嬉しいのでどこかでつけてゆきたいです。
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ひとりごと2024年

2024年11月 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する

エオカフェと石フリマに行ってきました! 明日は仕事だぞ! しかも待機組だぞ! 寝るな珍獣!!
タコスも肉まんもラハくん(ドリンク)とエスティニアン(ドリンク)も美味しかったし、石フリマは私の希望だったけど、ご一緒してくださったお二人もめちゃ楽しんでくださったようで良かった! 3フロアじっくり回りました。
そして理想の石に出会った……。これでオーダーメイドで、アルファズル戦記に出てくるクラウ・ソラスモチーフの剣チャームを来年お願いしたい!!
夢は広がるので、次のしごとを見つけるのがんばります。
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日記,ひとりごと2024年

2024年12月 この範囲を新しい順で読む この範囲をファイルに出力する

今日は #アルファズル戦記 第一部主人公エステルの誕生日です。
エステルの誕生日と言うことはアルフォンスの誕生日でもあるのですが、「何か書こう!」って思いついたのが昨日だったので、エステル関係で番外編を書くのが精一杯でした!
というわけで、久々に突貫で書いた番外編です。第一部終了後の時間軸なので、ネタバレにお気をつけください。


『アルファズル戦記』番外編『あなたが生まれた聖なる日に』

 グランディア王国が王都アガートラムの城下街は活気に満ちていた。
 帝国を打ち倒し、魔王教団の野望を打ち破って、正当な王族として華々しく帰還した王女が王位に就いて初の、彼女の誕生日が来たのだ。
『優女王』と呼ばれた母親にあやかり『勇女王』の二つ名を戴いた彼女の施政は、穏やかかつ堅実であり、民が彼女を真なる君主として認めるのにそう時間は要らなかった。
(でも、オレ達には届かない)
 華やぐ表通りの喧騒から裏通りに入った、古い家屋の庇の下で、ナジャは唇を噛み締めて拳を握り込む。その中には、東の大陸ノルンでしか採れないという翡翠を抱いた銀製のペンダントがあった。
 祝祭に浮かれた貴族から金品を頂戴するのは簡単だ。これも先程、金髪の騎士に護衛された、フード付きマントを羽織った貴族の女の首から滑り落ちたのを、二人に気づかれないようにさっと拾い上げたのだ。
 手癖の悪さには自信がある。ナジャはそうして生きてきたのだから。
 ナジャは孤児だ。十五年前の『勇女王』の誕生日と同じ日の夜、雪が降る中、孤児院の前に置き去りにされた篭の中で泣いていた。
 恐怖政治の帝国支配下でも、城下の福祉はかろうじて息をしていた。孤児院のマザーは、篭の中の赤子を暖めてミルクを飲ませ、ナジャと名付けて、聖王神ヨシュアに赤子の健やかなる成長を祈った。
 だが、善意は悪意に簡単に踏みにじられる。
 孤児院のシスターに目を付けた悪徳貴族が、執拗なアプローチの末、シスターが靡かないとわかるや、マザーにあらぬ反逆罪を被せた。
 マザーは帝国兵の剣で血の海に沈み、シスターは絹を裂くような悲鳴をあげながら連れ去られた。孤児院の子供達は散り散りに逃げて、逃げて。気づけばナジャは裏通りの貧民街で一人きりになっていた。
 生きる為に、ごみを漁って残飯を食べた。太陽を仰げないような真似も沢山した。その間、帝国は民を虐げるだけで、弱者は排除されろとばかりに、顧みてくれる事は無かった。
『勇女王』の治世になっても、貧民街は変わらなかった。暗い目をした行き場の無い連中が、日々を過ごす為に後ろ暗い事を何でもした。
(オレは、奇跡なんて信じない)
 このペンダント程度の盗みなど、軽いものだ。表通りの質屋に持ち込めば簡単に足がつく。裏通りの闇鑑定士に鑑てもらえば、年を越せるくらいの金にはなるだろう。顔を上げた時。
「あの、すみません」
 声をかけてくる女性の存在に、ナジャは不覚にもびくうっと身をすくませてしまった。振り向けば、ペンダントの主である女性だろう。フードからこぼれる水色がかった銀髪が、いつかマザーが話してくれた氷の精霊を思い起こさせる。瞳はペンダントが抱くのと同じ翡翠色だ。
「そのペンダントを拾ってくださったのですね、ありがとうございます」
 女性はふんわりと微笑んで歩み寄ってくる。馬鹿だ。ナジャは相手に見えない程度に、嘲りに顔を歪めた。やはり貴族のお姫様は常識知らずだ。上手いこと言いくるめて連れていこう。闇鑑定士は、『物』だけでなく、『人』も買い取ってくれるのだから。この美しさは良い値がつくに違いない。
 ペンダントを返す振りをして、女性に近づこうとしたナジャだったが、不意に首筋に触れた冷たい殺意に、凍ったように足を止めた。
「動くな」
 迂闊だった。この女性はお一人様ではなかったではないか。
 視線だけ向ける。いつの間にナジャの背後を取ったのか、金髪の騎士が、蒼い瞳を冷たく細めて白銀の刃をナジャの首に当てていた。少しでも不審な動きをすれば、ナジャの頭と胴体は永遠に泣き別れるだろう。
「俺はこいつほど呑気でも親切でもない。こいつに楯突く奴を許しはしない」
 ぶわっ、と。背中に冷や汗が吹き出て伝ってゆく。騎士の言葉に込められた怒りに、ナジャはこの男女の関係と、自分が手を出してはいけないものに触れてしまった落ち度を察した。
 しかし。
「待って、クレテス。剣は仕舞ってください」
 女性は先程までのぽやぽやした印象とは打って変わって、凛とした声で騎士に呼び掛けた。
 ナジャは愕然としてしまう。自分でも知っている。王婿の名はクレテス・シュタイナーという事を。その彼が、持ち物に手出しをされて怒りを露にする程の女性についているとしたら。それに、銀髪は竜の血を引く証。
 それらが弾き出す答えは。
「『勇女王』……!?」
 その呟きに、女性は少し困ったように眉を垂れて、人差し指を唇に当てる。それが答えだ。まさか女王が自分の為の祝祭に、お忍びで来ていたとは。
「クレテス」
 女王エステル・レフィア・フォン・グランディアが騎士に再度呼び掛ける。女王騎士はまだ納得がいかない様子ながらも、剣を鞘に戻した。
 それを見届けた女王が、再度ゆっくりとナジャに歩み寄ってきて、手を差し出す。
「申し訳ないのですが、返していただけますか? 貴方にはただの生活の糧でしょうが、私にとっては思い出の品なのです」
 女王ならもっと豪華な首飾りを身に付けられるだろうに、高価な石とはいえ、随分と質素なペンダントを身に付けるものだ。ナジャは不思議に思いながら、女王の手にしゃらりとペンダントを託した。
「ありがとうございます」
 女王は嬉しそうに微笑み、ペンダントをつけ直す。そんなに喜ばしい価値があるものか、と疑問を抱き、ナジャは思い出した。孤児院にいた頃、マザーに折り紙の首飾りを贈ったら、それはそれは嬉しそうに首にかけてくれた事を。
『ナジャの優しさに、聖王神の祝福がありますように』
 祝福など無かった。小さな幸せはより大きな欲望に呑み込まれた。
 だが、今。
 この女王の幸福そうな笑みを見て、苛立ちより羨望がナジャの心の中で先立つ。どうしたら、そんな顔を出来る場所へ行けるだろうか、と。
「私は」
 ナジャを思考の輪から引き出すように、女王が真正面から向き合って口を開いた。
「女王として、まだまだ未熟です。こうして手の届かない、救えていない人々が目の前にいても、全てを掬い上げる事が出来ません」
 だから、と、細い手が差し伸べられる。
「まずはあなたが、手助けしてくれませんか? あなたには、この裏通りの人々と繋がりがあると見ました。そして、私の落とし物に気付く鋭さ、身の隠し方。それらを磨けば、私の大きな支えとなってくれるのではないかと期待します」
 ナジャは最早ぽかんと口を開けて立ち尽くすしか無かった。初対面のこそ泥を、捕まえるでも咎めるでもなく、自分の懐刀として引き込もうというのだ。流石勇気の『勇女王』だ。
「観念したほうが良いぞ」
 背後で騎士が呆れ気味の溜め息をつきながら、がりがりと頭をかく。
「こいつはこうと決めたら絶対に曲げないからな。首輪を着けてでもお前を連れ帰る気が満々だ」
 伴侶がそう言うのだから、最早逃げ場は潰されただろう。ナジャはがっくりと肩を落としたが、逡巡は数秒だった。
「じゃあ、約束してくれ」
 顔を上げて、女王を見つめ返す。
「オレ達みたいな子供をもう生み出さない国にしてくれると。弱者が強者に踏みにじられない国にしてくれると」
「力の限り、善処します」
 必ず、とは女王は言わなかった。だが、安請け合いをされるよりは余程真摯な言葉だ。ナジャは差し出されていた手を、強く握り返した。
「そろそろ城に戻るぞ」騎士が声をかけてくる。「クラリス達が気付かないはずが無い。今頃城は大騒ぎだ」
「そうですね」
 女王がくすりと笑い、身を翻す。騎士が自然にその隣に寄り添い、ナジャは二人の後ろを着いてゆく。
 すると不意に、頬に冷たい感触が当たったので、顔を上げた。宵の口、女王生誕を祝うイルミネーションに、雪が降ってくる。
 雪は嫌いだった。自分が捨てられたという夜の証だから。だが今、これから仕える事になる人物と同じ誕生日かもしれないと思うと、雪空を見上げる胸に温かな火が灯る。
 これからは、今日を誇りに思えるだろうか。
 期待と不安の入り交じった感情を抱えたまま、ナジャは大通りをゆくのであった。

 エステル女王治世のグランディア王国に、ナジャという名の騎士や兵士、文官は存在しない。
 ただ、吟遊詩人が謳う異聞の中に、グランディア王しか素顔を知らない、密偵の中の密偵の物語がある。
 代々『メディスタ』の名を受け継ぐ、グランディア王の懐刀のいつかの代に、真名をナジャという、男か女かすらわからない者が就いていた事があるのだと。
 しかしながら、真偽の程は歴史の闇に埋もれて、決して知られる事は無いのであった。畳む

#番外編小説

創作