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七月のなまけもの
七月のなまけもの

カテゴリ「創作」に属する投稿[231件](3ページ目)

2026年8月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

たいへん! 気づいたら7月が終わってたわよ!
日記も約一週間空けてしまった……。
疎外感孤独感に加えて、創作意欲がしばらく渇れてしまったのて、マジでヤバかったです。

今は習作でヒオゼファの短編をちまちま書いています。29歳のヴァーリと27歳のヒオウに妃がいないのおかしいよなって、ヒストリカルざまぁを読んでいて思ったので、後付けでも理由をつけようと。
でも、ゼファーもヒオウも、メンタルが強すぎて、いやがらせとかいじめに屈しないで、むしろやり返すくらいの気概があるんですよね。たつみ村に住むとこうなる……。(両手で顔を覆う珍獣)

#アルファズル戦記
#雪が解けて春になる

日記,ひとりごと2026年,創作

2026年7月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

#雪が解けて春になる の載せ忘れていた漫画3本目です。

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ヒオウは怒ると静かに圧をかけるタイプなのは、以前にも描きましたね。
ゼファーには距離を置いてほしくない、イスミ・コウです。畳む


#アルファズル戦記

ひとりごと2026年,創作,マンガ

#語彙トレ2026 『この大地の上で』07/11~07/20分をまとめました。
この進度で12/31に終わるのか!? 私もわかりません!!

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07/11-百雷
 恐らく、劾は主君からこれを託されただけで、中を読んでいなかったんだろう。この経緯を知っていたら、恭司様を恨んだりしていない。エクセルは……わかんねえな。実の兄だってのに、お互いを知らない期間が長すぎたせいで、あいつの頭の中がわからん。
『男女が二人いたら、何でも惚れた腫れたになると思うなよ』
 サーリアでそう耳打ちされたから、本当にソフィアのことは何とも思ってないんだろうが。
「時雨!」
 耳に慣れた声が、俺を現実に引き戻す。
 女衆や護衛に付き添われたソフィアが、目に涙をためて駆けてきたかと思うと、思い切り飛びつかれる。百雷みたいな喝采が起きた。

07/12-昏睡
 やばい。照れている場合じゃない。
「被害は?」
 先頭に立つ劾に問いかけると、ソフィアが不服そうに頬を膨らませたが、今は勘弁してくれ。ホクナの上に立つ人間としてやることがある。
「破獣にやられたのが二名、重傷が五名ほど、昏睡が一人。崩落で、洞穴に残ってた戦闘員は、皆逝っちまいましたわ」
 俺に託した、槍術士の顔が忘れられない。あの男は、俺を主君とあおいで、ホクナの未来を心から望んだんだ。
「彼らを弔おう。俺はホクナ式を知らないから、あんたらのやり方を教えてくれ」
「合点でさ!」
 劾が得意気に拳で胸を叩く。
「それが終わったら、次は、ジャオウだ」

07/13-夜色
「ホクナの夜色は、それはそれは綺麗でしたわあ」
 夜を迎えた空の下、破獣にやられたひと、瓦礫の下から何とか引き出せたひとを、火にくべた。立ち上る煙を見上げながら、劾さんが、ぽつり、呟く。
「わたしも、見たかった、な。時雨の故郷」
「姫さんにも見て欲しかったですわあ。ジャオウの都にも負けん、豪華絢爛な夜でな」
 時雨の隣で、膝を抱えると、劾さんが髭面を、くしゃくしゃにして、笑った。
 救えなかった。癒しの力、持ってるのに。この炎に消えたひと、沢山、いる。わたしを守ってくれた、槍術士さんは、見つからなかった、って。
 悔しい、すごく、悔しいよ。顔を伏せた。

07/14-帰還
「お姫さん、そんなに落ち込むんじゃあないよ」
 いつの間にか、隣にいた、アナベラさんが、ぽんぽんと、わたしの背中を叩く。
「あんたとアタシ達のおかげで、ホクナの希望が帰還したんだと思いな。どうやら連中、湿っぽいのは嫌いらしいよ」
 言われて、アナベラさんの視線を、追う。時雨とエクセルが、ホクナの人達に囲まれて、お酒、飲まされてる。
 あの。だいじょぶ、かな。
 エクセルって、
『飲み過ぎると翌朝五分くらい記憶が飛んで、自我を戻すのに手間なんだよな』
 って、ぼやいてたこと、ある。
 弟だから、時雨も、そんなこと、あるのかな?
 考えたら、なんか笑えてきた。

07/15-追放
「そういえば」
 にこにこ、時雨たちを見守っていたら、アナベラさんが、急に声を低めて、囁いてきた。
「ホクナを追放されて、ゼノスのもとに逃げ込んだ奴がいるって、劾から聞いたんだよ」
 どきり、と。心臓が脈打つ。
 そういえば、ラグナールにいた頃。あのひとの怖さを、見抜いて、早々に降ったひとたち、けっこう、いた。ラグナール人じゃないひとも、いた。
 あのひとたちは、ラグナールにつけば、自分の野望、叶うって、勘違いしてた。
 あのひとは、普通じゃなくなってた、けど、コウモリを許すほど、狂ってはいなかった。
 裏切り者は、みんな、みんな。破獣になったんだ。

07/16-亡霊
『ラグナール王城には巨人の亡霊が出る』
 まことしやかに、飛び交った、噂。
 噂、なんかじゃ、ない。
 破獣にされたひとたちが、城から飛び立つのを、夜に見た誰かの、言葉。
 わたしは、なにも、できなかった。
『ティアナ。もうすぐノルンは、いや、アルファズルは、私たち二人のものになるよ』
 両手を広げて、空をあおいで、恍惚とした表情で、あのひとは、語ってた。
 わたしに、じゃない。
 いつまでも、そのうつろな瞳の先にいる、ティアナの亡霊に、向けて。
 知ってる、よ。
 ティアナが、悲しそうな顔、してたの。
 あれは、本物の、ティアナの亡霊なんだ。

07/17-供養
 気づいた時には、見えてた。あのひとを哀しげに見つめる、わたしにそっくりな、わたしと色の違う、あの子。ティアナ。
 始祖種エリオンなのに、わたしは、亡霊と話せない。あの子の本音、知ることができない。
 でも、その顔が、語ってた。
 自分のせいで、おかしくなっちゃった、大好きなお兄さんを、止めて欲しいんだ、って。
 だからわたしは、ラグナールから、あのひとから、逃げ出した。あのひとを、止めるために。
 もう、言葉を尽くしても、あのひとは、止まらない。なら、言葉の代わりに、刃を振り下ろすしか、ない。
 それが、唯一、ティアナを供養する方法、なんだって。

07/18-結界
「姫さん、そんなん暗い顔ぉしとると、死んだ奴らが安心して極楽に行けねえわ」
 劾さんが、ぽつりと喋り出す。
「結界、言うてな。ホクナではあの世とこの世を分ける境目があるんやわ」
 ホクナの死生観は、ラグナールとは、かなり違う。それは、ジャオウで育った、時雨を見てても、わかる。この辺り、文化が、ノルンでも、かなり独特。
「明るく送ることでな、連中も安心して結界を越えていけるんやわ」
 言われて、ふわふわ、胸に浮かんでくる気持ちが、ある。
「じゃあ」
 久しぶりに、舞の布を翻して、立ち上がる。
「舞姫が、送りますか」
 にっこり笑うと、みんな、拍手してくれた。

07/19-叛逆
 ホクナの人たちの前に、しずしずと、踏み出して。
 ひらり、はらり。ばさり。
 弔いの炎に負けない勢いで、布を翻し、わたしは、踊る。
 ジャオウに叛逆して負けた人たちも。ラグナールに叛逆を望んで逝った人たちも。
 どんな人たちも、ホクナの未来を、夢見ていた。
 だから、願うよ。
 あなたたちの魂が、迷わず天上に……ホクナの死生観では、極楽、かな。そこに、たどり着けるように。
 ゆらり、ざばり。
 緩急をつけて、踊る、踊る。
 さっきまで、お酒を飲んで盛り上がってた人たちも。すっかり静まり返ってる。
 視線の端で、時雨が微笑んで見てくれているのを、みとめた。

07/20-虚像
 舞い終わって。拍手喝采が、わたしに向けられる。
 国と国の関係を思えば、刃、向けられても、おかしくないのに。ホクナの人たちは、残酷なほどに、優しい。誰に、剣を突きつけるか、わかってる。
 戦に関係ある、実像と虚像、区別、ついてる。
「……ありがとうな」
 息を整えてると、背後から、時雨に声、かけられた。
「あんたのおかげで、胆が据わったよ」
「わたし、そんなに、役立った?」
「大いに」
 歯を見せて笑う、その姿に、心臓、どきどき言う。止まれ。違った、静まれ!
「おれはホクナの先頭に立って、ジャオウも守る。虚像の英雄にはならない」
 真顔で、時雨は言った。畳む


#アルファズル戦記
#この大地の上で

ひとりごと2026年,創作,小説

#雪が解けて春になる の載せ忘れていた漫画2本目です。

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ヒオウがナチュラルイケメンムーブをするのは、本編で出てきた時からそうですが、ニーザがとことんツッコミ役になるのは、漫画版だけの役割ですね。
白ツヤをニーザの髪に入れようとして、失敗した跡があります。
ツヤベタペン素材もダウンロードしたのですが、なかなか上手く行かないですな~!畳む


#アルファズル戦記

ひとりごと2026年,創作,マンガ

目の描き方は、最近頭を抱える事項ですね。
#雪が解けて春になる のヒオウを美形に描きたいんだけど、彼の目には「上がつり気味で下がたれ気味」という設定があり、描き重ねるほどにそれがどんどんできなくなって、美形も崩れてるんですよね。

ゼファーは「ガン○ム種のカ○リ」という手本がいるので、描きやすいんだけど……。
最近、目の上の線を平井さんの真似してるんですが、これが上手くはまる時とはまらない時の差が激しくて、あたま抱えてます。

日記,ひとりごと2026年,創作

#語彙トレ2026 『この大地の上で』07/01~07/10分をまとめました。

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次→702

07/01-崩落
「ありがとな……お姫さん」
 まだ、血は拭き取れてないけど、死にかけだったひとが、笑いかけてくれる。
「あんたは、時雨様と一緒に来てくれた、救い主だあよ」
 周りの空気、和らぐのが、わかる。
「……そうや。国なんか関係ねえ」
「疑って悪かった」
 少しずつ、ひとが集まって。決まり悪そうに、微笑む。
 うん、そうだよね。話せばわかり合えるよね。壊れてしまったあのひとを、止める方法、あるよね。
「ありがとう」
 笑い返した、その時。
 微震がして、皆が、きょろきょろする。震動、大きくなる。
「崩落や!!」
 誰かが叫ぶと同時、洞穴の天井が、崩れた。

07/02-渇水
 洞穴の外には、渇水によって干上がった窪地があった。そこに破獣を誘き寄せる。
「時雨様ぁ!」
 劾が銅鑼声をあげた。
「破獣は首落とすのが一番確実ですわ!」
 そうして手で首をかき斬る仕草をしてみせる。
「わかった」
 青竜刀『星辰』を手にし、舞い降りてくる褐色の異形に向かい合う。
 振り下ろされた鋭い爪持つ腕を、地面を蹴ってかわし、ばねのように跳ねて飛び込む。『星辰』を振り抜けば、鬼のような首が飛んで、蒸気を吹き上げながら消滅してゆく。
「おああ!」
 誰かの悲鳴が聞こえる。
「怪我した奴は下がれ! 誰も死ぬな!」
 檄を飛ばせば、応、と返ってきた。

07/03-真紅
 真紅の血が舞う。
 破獣に翻弄されて、爪と牙の前に、倒れてゆく奴がいる。
「あまり周りに気を取られるなよ!」
 背後から毒針を投げて援護してくれるエクセルが、注意を飛ばしてきた。
「連中は、お前の為に命を張ってるんだ。そこにかかずらってお前が倒れたら、ホクナの生命線まで切れるからな!」
 奴の言う事は正しい。もう、俺一人の命じゃあなくなった。ジャオウとホクナ、両方の命運がかかってる。『星辰』を握り直した時。
 窪地の一部が、破獣の重みに耐えきれなかった。ホクナの戦士を何人か巻き込んで、崩落する。
 あの下にいる、碧い瞳を思って、腹の底が冷えた。

07/04-破滅
 頭から血の気が引くのがわかる。誰も死ぬなと檄を飛ばしたのに、戦わない奴から破滅してゆくなんて、そんなのありか!?
「おい、待て!」
 俺が何をするかわかったんだろう。エクセルの焦った声が背中にぶつかる。
『指揮はおめえでもできるじゃろ!』
 思わずジャオウ語を飛ばして、陥没した穴へ飛び込む。
 瓦礫に足を挟まれて動けなくなっていた女に、破獣がゆうらりと近づいてゆくのが、視界に入る。
『星辰』を構えて距離を詰め、一瞬で振り抜く。首を飛ばされた破獣が消える。
「あ、ありがとござんす、時雨様……!」
 女が礼を言い、男達が瓦礫に取りつく中、目的の姿を探した。

07/05-残火
「ソフィア!」
 彼女の名前を叫ぶ。頼む。返事をしてくれ。どこかで上手く瓦礫を避けていてくれ。
 洞穴の中で焚いていた火が潰されて、残火の煙をあげている。破獣の蒸気と触れ合ったら、また燃え上がるかもしれない。背筋が冷えた時。
「時雨……様!」
 苦しげな男声が耳に滑り込んだので、振り向く。
 非戦闘員の護衛に残した槍術士が、槍と己の腕で重たげな瓦礫を支えながら、視線を足元に向けている。それにつられて見下ろし、心臓が跳ねた。
「ソフィア!」
 頭を打ったのか、額から血を流しながら、ソフィアが倒れている。
「早う、姫さんを助けてやってくだせえ!」

07/06-絶望
 抱き込むようにソフィアの身体を抱えて、瓦礫の下から引きずり出す。足くらい折れてるんじゃあないかって危惧したが、額の血以外は目立った外傷は無い。最悪の絶望からは逃れられた。
「あんたも。早く出てこい」
 ずっと支えていてくれた男に声をかける。だが、彼は首を横に振った。
「時雨様。わいがここで手を離したら、時雨様たちごと巻き込んで、この辺全部潰れますわ。だから」
 黒い瞳が、切望を込めて俺を見る。
「わいが支えられているうちに、生きてる連中連れて、逃げてくださいや」
「そんな、馬鹿なことを!」
 声を荒げても、相手の意志は変わらないようだった。

07/07-蝉時雨
『ざけんな! 誰も死ぬな言うたんだ! おめえも死なせるか!』
 もうどうしようもないことは、頭のどこかで理解しているのに、ジャオウ語でわめいてしまう。
『時雨は、気に食わんことがあるとシャーシャー蝉みたいにわめきたててなあ。蝉時雨じゃぞ』
 子どもの頃、俺が聞き分けないと、恭司様が困った顔をして頭を撫でてくれたのを、今更思い出す。
「時雨様」男が笑う。「絶対、ホクナを再興してくださいや」
 ぐっと拳を握り締めてうつむき。顔を上げて。
「あんたの忠義を、無駄にはしない。ホクナは生き返る」
 満足そうに目を細める相手から視線をはがし、ソフィアを抱えて離れた。

07/08-秘帖
 外に飛び出した瞬間、洞穴は轟音を立てて崩れきった。護衛に残した連中が命を張ってくれたおかげで、殆どの者が生き残った。
 だが、『殆ど』だ。『全員』じゃあない。外で戦っていた中にも、傷を負った奴がいる。
 ソフィアを女衆に託して、独り、近くの岩場で座り込み、頭を抱える。
 俺が、犠牲にしたんだ。ホクナの民に希望をちらつかせて、死地へ追いやったんだ。
「時雨様」
 劾の声が背中に投げ掛けられる。エクセルがいる気配もする。
「こんなんあるだろと、おとん様が秘帖を残してくださってますわ」
 のろのろ振り向けば、劾がぼろぼろの表紙の帳面を、手渡してきた。

07/09-怨嗟
 一人きりで、帳面をめくる。
 ホクナ国主、つまり実の父親の、個人的な記録。ほとんど日記のようなものだった。
 もっとこう、民を治める苦しさとか、ジャオウとの軋轢とか、愚痴や怨嗟に満ちているのかと思ったら、全然そんなことは無い。
 視察に降りて田植えを手伝ったら、ぎっくり腰になったとか。祭に交じって水を浴び笑った話とか。自分には勿体無いくらいいい嫁をもらったとか。
 そんな他愛の無い話が、躍るような筆致で綴られている。
 ある箇所で、手が止まる。
 正室が男子を産んだ、と。
『嫡男とかしがらみにとらわれんで、思うがままに、愛される国主になって欲しいのお』

07/10-鎮魂
 記録は続く。
 俺や他の子供達の成長。毎年夏に、鎮魂の灯籠を川に流す儀式。その最後のページに、酷く乱れた字で、書き記されてあった。
『過激派を抑えられんかった。ホクナは滅亡する』
 ホクナの反乱は父親の暴走ではなかったのだと、心のどこかで安心する。だが、その続きに目を奪われた。

『ジャオウの跡継ぎが、密かに来た。時雨の命を助けて欲しいと願うと、「んなら、俺の子として育てるさ。強く正しい男にする」と快諾してくれた』

 頭を殴られた気分だった。
 実父も、恭司様も、俺を息子として誠実に見ていてくれたんだ。
『……親父』
 思わず背中を丸めた。畳む


#アルファズル戦記
#この大地の上で

ひとりごと2026年,創作,小説

#語彙トレ2026 『この大地の上で』06/21~06/30分をまとめました。
上手く10日で一区切りつかなくなってきたな……って顔をしてます! 12/31に完結しないんじゃないの!? とも思ってます!

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06/21-衝動
 衝動的に出た言葉だった。こいつらも『元老院』みたいに、俺が役に立つから使い潰して、その死は尊いものだったって、おいおい泣き真似してみせるんだろうって、怒りがあった。
 だのに。
「何おっしゃんですか、時雨様!」
 劾が目を見開いて、俺をがくがく揺さぶる。
「おら達は、時雨様と秋霖様の為なら、なんぼでも命張る覚悟できとります! 勿論、時雨様達が死ぬなっておっしゃんなら、死なない戦い方すんですがな! なあ、おまいら!?」
 劾に応じて、男達が拳を突き上げて雄叫びあげる。
「って訳だ」
 エクセルが、ぽんとこちらの肩に手を置いた。
「観念して腹くくれ、弟」

06/22-虚脱
 天然の洞穴が、ホクナの民の隠れ家だった。入口に隊商の馬車を停めて、武器防具が降ろされると、戦う連中は歓声をあげて受け取った。
「ノルン共通貨で払ってくれるなんて、気が利くねえ」
「今のご時世についてかにゃ、生きてけねえことくらい、わかってら」
 アナベラと劾がしたり顔を交わし合う。
 そんな様子を、俺は虚脱しきって近くの椅子に座りながら眺めている。
 ああ、やっちまった。人の上に立つなんて、柄じゃないのに。恭司様の下で『星辰』を振るうのが似合ってたのに。
「時雨」
 溜息をついたところに、ソフィアが杯ふたつ持って、心配げに見下ろしながら声をかけてきた。

06/23-焼損
「だいじょぶ?」
「……正直、あまり大丈夫じゃあない」
 差し出された杯を受け取り、口をつける。ホクナ特産の果実を使った、酸味ある飲み物だ。覚えている。いや、思い出したんだ。
 生家の屋敷の庭にも、この果実の木があった。恐らく、ホクナが制圧されたその日に、炎に呑まれて焼損してしまったろうが。
「無理、しなくて、いいよ」
 ソフィアが傍らに腰掛けて、杯を手で包む。
「エクセルの素性は、わたしも、知らなかったし。傭兵だって言うから、国を出るの、手伝ってもらったの」
 長い睫毛を伏せて、らしくない憂鬱そうな表情を見せる。
 こんな顔をさせたのは、俺のせいだ。

06/24-焦土
「あいつも、穏やかじゃあない人生を送ってきただろうな」
 焦土から、恭司様に連れられて行った俺と、焦土に残されたあいつ。どちらが生きるのに必死だったかなんて、考えるまでも無い。
 だけど、まだあいつを「兄さん」と呼ぶ勇気が出ない。俺はやっぱりまだ、恭司様の息子で、細の弟で、『星の忍』なんだ。顔を伏せると。
「どんなに、なっても」
 ソフィアの声が、心地よく耳に滑り込んできた。
「時雨は時雨、だよ。優しい、わたしの大切なひと」
 ……は?
 なんだそれ。深い意味あるのか?
 耳まで真っ赤になるのを自覚する。やべえ。顔を上げられないぞこれ。

06/25-戦慄
「おい、大変やぞ!」
 弛みかけた空気を緊迫させるかのように、切羽詰まったホクナの民の声が、洞穴内に響いた。
「破獣や! 十はおる!」
 たちまちその場にいる連中に戦慄が走る。
「劾じいさん! おめえが油断するから!」
「ホクナじゃねえ商人なんか呼び込むから!」
 喧々囂々、責任の押し付け合いが起きる。
 俺は、だん! と杯を卓に叩きつけて、立ち上がった。
『そげん事で仲間割れしてる場合じゃねえだろ! それこそラグナールの狙いだって、気づかねえのか!?』
 掴み合いになりそうだった連中が、しんと黙る。
『戦える奴は戦え! 自信無え奴はすっこんでろ!』

06/26-燦然
 びっくり、して。
 時雨を見上げた。
「アナベラから武器を受け取った奴はついてこい。俺は破獣とは一度しか戦ったことが無いから、戦法を教えてくれる奴がついていてくれると助かる。万一の為に、非戦闘員は脱出路近くに避難させるんだ」
 てきぱきと指示を下す姿は、まるで燦然と輝く太陽みたいで、ほんとに、彼がひとの上に立つひと、なんだな、って痛感する。
 ホクナ国主の跡取り。ジャオウの次期太守の養子。ひとを導く資格は、じゅうぶん、あったんだ。
「あんたも避難しろよ」
 こんな時まで、わたしの心配、して。
 こんな時なのに、嬉しくなっちゃって。
 笑顔で、頷いた。

06/27-凶兆
 武器を手に、洞穴の外へ走り出ていった、時雨達の背中を見送りながら、胸に手を、当てる。
『これはラグナール皇国にとって吉兆にございます』
 檻の中で、餓えて。自分達すら喰らい合う、破獣を、あのひとに見せながら嗤う、あかい瞳と、銀に見える髪の、背の高い、男のひと。
『もっとも、他国にとっては、滅びの凶兆でしょうが』
 それを、聞いてるのか聞いてないのか、あのひとは、満足そうに、笑んで、見てた。
 破獣を生み出した、男のひとは、いつの間にか、消えた。でも、破獣は増え続ける。
 ラグナール兵を、素体にして。
 あのひとが、増やし続けた。

06/28-暴走
 時雨が、ホクナの人達の先頭に立って、洞穴を出ていった。こんな時、待つしかできない自分が、悔しい。
「大丈夫やで、お嬢さん。いや、姫さん」
 護衛に残った、槍術士のおじさんが、背中、撫でてくれる。
「あんさんがラグナールの姫なのは、わかっちょる。でも、ゼノスの野郎とちゃうのも、わかっちょる」
 彼の目線を、追う。怯え、怒り、不信、戸惑い。色んな目が、わたしを見てる。
「憎むはゼノスだ。姫さんとちゃう」
 ああ、このおじさんは。わざと大きい声で言うことで、残った人達が、暴走して、わたしに何かしないよう、気を遣ってくれてるんだ。
 まるで、時雨みたいに。

06/29-処世
「時雨様がおっ死にかけた時、助けてくれたんも、姫さんやろ?」
 槍術士のおじさんは、滔々と、語る。
「世間知らずみたいな顔しとんのも、ゼノスの関係者って疑われんための、処世術だったんやろなあ。苦労したろうなあ」
 おじさんの言葉に、周りの人達の視線に込めた感情、変わってくのが、わかる。
 なんで、人は、争うんだろう。こうして、優しい人、いるのに。話せばわかり合えること、沢山、あるのに。
 膝の上で、拳を、握り締める。その時。
「おい! 治癒士呼んでくれ! やられた!」
 外で戦っていたはずの人が、血にまみれた、同胞を背に負って、駆け込んできた。

06/30-暗渠
 きっと、唇を引き締めて、立ち上がる。
「わたしが、できます」
 胡乱な顔を向ける、そのひとに構わず、怪我をしたひとを横たえさせる。
 わたしの、エリオンの力。それが、光となってこぼれ落ちて。顔から胸まで、破獣の爪に引き裂かれて、ずたずただったひとの、傷を癒してゆく。
「お嬢さん、あんた」
 アナベラさんも、驚いてる。そう、だよね。魔法の詠唱も無しに、怪我、治すなんて。しかも、ラグナールの、人間が。
 ううん。人間であるかも、怪しい。暗渠に住み着く、怪物みたいに、見えてるんだろうな。
 うつむくと。
「ああ……」
 死にかけていたひとが、口を開いた。畳む


#アルファズル戦記
#この大地の上で

創作,小説

X上の毎年の企画、文披31題の季節がやってきました。
今年は(も?)、カクヨムで連載します。

『アルファズル断片集31題 2026』

です。
リメイク本編が去年完結した、狭義の『アルファズル戦記』、西の大陸編ですが、番外編を出しきっていない、という心残りがずっとありました。
いつか異聞録2を出せるように、今回の31題で、書ける限り下敷きを作ってしまおうと思います。

ただ、メニエール病が全く快方に向かわないので、当日にお題文を出せない日があると思います。
極力がんばります! でも終わるのが冬とかになったらすみません!!

#アルファズル戦記

日記,ひとりごと2026年,創作,小説

2026年6月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

#語彙トレ2026 『この大地の上で』06/11~06/20まとめです。
初期設定に全く無かったことが飛び出してきました。書いている間に色んなことがポップしてくる、キャラが生きている証拠です。

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06/11-共鳴
「源家を旗頭に立てて、ジャオウ太守を守った忠義を見せる。ホクナの民は共鳴するさ」
『ま、待て待て待て待ておめえ!』
 完全に動揺した時雨が、ジャオウ語で、エクセルに、つかみかかる。
『俺は「星の忍」だ! ホクナは関係ねえ!』
「お前の意思なんて、戦の前には尊重されないんだよ」
 隻眼が、冷たく、時雨を見下ろす。
「『元老院』にも仕返ししたいんだろ? なら、腹をくくれ。ジャオウとホクナの救い主になれ」
「ふうん」
 商人の女性が、面白そうに、笑いをもらす。
「楽しそうな賭けじゃあないか。本来、確定しない勝ちには乗らないが、見届けてやってもいいさ」

06/12-飽和
 馬車の車輪ががらごろと回る。
 商人の女、アナベラが手配した隊商は、飽和しそうな武器を積んで、ジャオウへの道をひた走っていた。
 隣の席ではソフィアが膝を抱えてうとうと居眠りしている。向かいでは、エクセルが腕組みして隻眼を閉じていた。
「なあ」
 ソフィアを起こさない程度の声量で、エクセルに呼びかける。
「お前、何でそんなにホクナに詳しいんだ」
 俺すら知らなかったんだ。『源時雨』は、恭司様が与えてくれた名前だと思ってた。
「まあ、行けばわかる」
 エクセルは端的に答えて、また黙り込む。
 恭司様。あなたは俺を、利用できると思ったから育てたんですか?

06/13-鶴首
 ホクナの民は、ジャオウを恨んでいる。実際、何度も小規模な反乱を、忍の一人として鎮圧に参加したことは何度かある。
 そんな連中が、俺の存在を、ホクナ復興の旗頭と見て鶴首して待っているのか? 本当に?
 思考の迷路にはまりかけた時、馬車ががくんと止まって、「ひゃっ」とソフィアが椅子から転げ落ちそうになったのを支える。
「どうした!?」
 エクセルが幌を上げて怒鳴ると、御者席のアナベラが蒼白な顔をしていた。
「破獣(ビースト)だ!」
 聞き慣れない単語に眉をひそめる俺とは対照的に、ソフィアとエクセルは顔色を変えた。
 ということは、ラグナール関係か。

06/14-酷暑
 前を行く馬車から悲鳴があがった。咄嗟に『星辰』を手に取り、エクセルと共に馬車を飛び出す。
 そして目にしたものを前に、驚きで固まった。
 人よりふた回りも大きい巨体。接近しなくても酷暑のように押し寄せる熱を発する、蒸気に包まれている。それが鋭い牙と爪を持って、馬車の馬と御者を貪っている。
 いくら戦に関わっているからって、残酷な場面に鈍麻している訳じゃあない。さすがに吐き気を覚える。
「気をつけろよ」
 エクセルが針を構えながら距離をはかる。
「奴らには、言葉も慈悲も、期待できない」
 破獣の、瞳の無い眼球がぎょろりとこちらを向いた。

06/15-蜃気楼
 破獣から立ちのぼる蒸気が、蜃気楼を作り出しているかのようだ。一匹のはずなのに、複数体に見える。
『幻惑術を使うてくる奴には、理性で対抗すんだよ』
 姉と慕った亡きひとの声が、頭の中で蘇る。
 目を瞑って、視界を遮る。そうすれば、熱の出所がわかる。

『星辰』を振り下ろす。

 破獣の本体の腕が飛んで、咆哮が響き渡る。
「へえ、やるな」
 エクセルが愉快そうに笑って、数本の針を投げる。細長い針が、破獣の目に、胸に、深々と刺さって、更なる悲鳴が巻き起こる。
 俺は更に一歩踏み込んで、『星辰』を、首に叩き込む。青竜刀は、滑らかに化物の首を叩き落とした。

06/16-喧騒
「すごいじゃん、あんたら!」
 アナベラが全力で拍手する。
「兵士十人でさえ勝てるかっていう破獣をこんなに簡単に倒しちまうなんて、本当に、ジャオウに勝ち目があるんじゃないの!?」
「忍は熊や虎を相手にすることもあったからな」
『星辰』を納めながら応えるが、エクセルと、ソフィアは、浮かない顔をしている。
 何か変なことを言ったか不安になり始めた頃、前方から喧騒が近づいてきた。
「なんやなんや! おら達の領域で暴れちょお奴らは!?」
 聞き覚えのある訛り。これは、ホクナの。
 気づいた時、男達を率いて先頭に立つ小柄な老人が、
「秋霖様!」
 と銅鑼声をあげた。

06/17-灼熱
「誰って?」
 アナベラが不審そうに、老人の視線の先を向く。つられて首を動かせば、エクセルが、凄まじく不本意そうに顔をしかめていた。
「劾、お前なあ……」
「なんやなんや、悪いこたありますかい秋霖様! おら達ホクナの希望、源家の跡継ぎ様を慕って、何が悪い!? なあ、おまいら!」
 老人が後ろの連中を振り返ると、男達は灼熱のごとく歓声あげて拳を突き上げる。ああ、聞くまでも無く全部説明ありがとうってとこだな。
 だが、なんだって?
 エクセルが、源家の跡継ぎ?
 顎に手を当てると。
「俺よかよっぽど向いてる奴を連れてきた」
 エクセルが、俺を指差した。

06/18-星霜
 男達が一斉に俺を見る。戸惑い顔。驚き顔。ありとあらゆる表情が向けられる。
「時雨……様?」
 劾と呼ばれた老人の口から、俺の名前が零れ落ちる。
「な?」エクセルが肩をすくめた。「側室の子より、正室の子の方が、ホクナ復興にはおあつらえ向きだろ?」
 それで理解できないほど、俺は馬鹿じゃあない。視線を泳がせると、ソフィアと目が合った。
 ああ。俺はあんたを守るつもりだったのに、俺の事情に巻き込んでばかりだ。
「時雨様ぁ!!」
 俺の心情に構わず、劾がしがみついてくる。
「あんた様がジャオウの奔放野郎にさらわれて幾星霜! お帰りを待ってたんですわ!!」

06/19-雲散
「時雨様! あんた様がおられたら、おら達の恨みは雲散霧消しますわ!」
 劾はおいおい泣きながら俺にしがみつく。だが、そんな単純な話じゃないのは、わかってる。
「俺は、ジャオウの『星の忍』だ。あんた達ホクナの生き残りを斬り捨てた事もある」
 たちまち、しん、と連中が黙り込む。拳を握り締めて、先を続ける。
「同志の仇に、そう簡単に命を預けられるのか?」
 俺は細を恭司様の仇だと信じ込んだ。その結果、大事な人達をふたりも失った。
 今更ホクナの旗頭になったとて、また屍の山を築くだけじゃあないのか?
「時雨は、そんな人じゃ、ない!」
 高い声が、沈黙を破った。

06/20-固執
 ソフィアは、碧眼を鋭く細めて、ホクナの民に呼び掛けた。
「わたし、時雨のこと、そんなに長く、見てない。でも、責任感、強すぎて。あなた達の為に、あなた達を、突き放そうと、してる」
 劾が目を瞠り、ホクナの連中がざわつく。
「そりゃ……時雨様のおかん様も、口はきっついけど、おら達のことを考えてくだすってた」
「時雨様、奥方様にそっくりやんけ。顔は秋霖様と同じでおとん様似やけど」
 知りもしない両親の話まで出されて、頑なに固執してる場合じゃあないのを悟る。
「あんたらは」
 連中に問いかける。
「俺が『ホクナの為に死んでくれ』って言ったら、従うのか?」畳む


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