『七月のなまけもの』は
たつみ暁個人サイトならびに個人サークル名です。ファンタジー小説中心に、現在まったり気まぐれに運営中。オフライン活動もしております。
作品のレーティングは特にしていませんが、作中で予告無しに暴力・流血表現が出て来たり、性的な描写をにおわせたりする場面があります。苦手な方はご注意を。
このサイトに掲載されている文章や画像の無断転載、引用、自作発言を固く禁じます。ヘッダーとアイコンのイラストはkit様画です。
イベント参加予定
+2026/05/03(日)~05/05(火祝)サロン・ド・ピクリエ5(オンライン/申込済)+2026/05/04(月祝)文学フリマ東京42(J72)
+2026/05/22(金)~05/24(日)あなたのセカイの物語2(オンライン/う3)
+2026/06/06(土)~06/07(日)個人サイトWebオンリー めぐる市(オンライン/申込済)
+2026/06/07(日)COMITIA156(申込済)
+2026/09/13(日)文学フリマ大阪(申込済)
+2026/10/31(土)~11/01(日)紙本祭8(オンライン/申込済)
お知らせ
✳2026/02/13、くるみ舎こはく文庫様より、いぬい真宵名義で新作ティーンズラブ中編小説『婚約破棄は違法です! ~追放された悪役令嬢は辺境の教会で恋に堕ちる~』が配信開始されました。(くるみ舎様のページに飛びます。18歳未満のかたはご遠慮ください)・執筆活動履歴、受賞歴、商業作品履歴につきましては、こちらにあります。
・ものかきの仕事ご依頼、アンソロジー寄稿などは、こちらからご連絡くださると幸いです。得意分野は異世界ファンタジーで、哀しみや試練を乗り越えて未来に続くハッピーエンドが好きです。他ジャンルも全年齢向け、ティーンズラブ共に積極的に取り組みますので、是非ご相談ください。
・サイト名 七月のなまけもの
・管理人名 たつみ暁(タツミ アキラ)
・X @tatsumisn
・小説投稿サイト カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
・同人誌通販 架空ストア様
・FANBOX pixivFANBOX
・問い合わせ こちらのフォームへ
・サイトURL https://tatsumi-sloth.club/
・管理人名 たつみ暁(タツミ アキラ)
・X @tatsumisn
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2026年4月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
一大イベントあと1日!
今日は慣れゆえからの半ギレをしてしまったけど、去年の私ならブチギレていたところを、チャットで助けを求めたから、報連相ちゃんとできてる! 進歩! ってなりました。
ちゃんと気づきと学びを得て、自己理解も深めて帰る2週間で終わりそうです。
#生きる
今日は慣れゆえからの半ギレをしてしまったけど、去年の私ならブチギレていたところを、チャットで助けを求めたから、報連相ちゃんとできてる! 進歩! ってなりました。
ちゃんと気づきと学びを得て、自己理解も深めて帰る2週間で終わりそうです。
#生きる
一大イベント折り返し!
今日も朝からフィードバック!!
盛らずにまっすぐに評価されることに、まだ慣れない……。今までの人生で、どんだけ雑に扱われて、自己肯定感凹まされてきたのか!?
あと5日がんばるぞい!!
#生きる
今日も朝からフィードバック!!
盛らずにまっすぐに評価されることに、まだ慣れない……。今までの人生で、どんだけ雑に扱われて、自己肯定感凹まされてきたのか!?
あと5日がんばるぞい!!
#生きる
今週のケントゥリア
セオドリク、へーレムの腕じゃなくて首もいじゃえば良かったのにー! ……と思う人は多かったと思うけど、へーレムがしんだ場合の泥人形たちの運命ってほんと、ジーラちゃんが考えてる通り選択肢②しか無さそうなんですよね。救いが無い……。
エルストリは、予言の子を王命に逆らってまでころそうとしてるのに、いざ自分が害されそうになるとじたばた足掻くの、5年前からそうですよね。小物以上になりきれない悪役極まってる!
そしてラクリマちゃんやっぱりなー!
こうしてユリアンたちの動向は筒抜けなわけだ……。どうにか……どうにか救いは……無いですよねえええええこれダークファンタジー!!畳む
セオドリク、へーレムの腕じゃなくて首もいじゃえば良かったのにー! ……と思う人は多かったと思うけど、へーレムがしんだ場合の泥人形たちの運命ってほんと、ジーラちゃんが考えてる通り選択肢②しか無さそうなんですよね。救いが無い……。
エルストリは、予言の子を王命に逆らってまでころそうとしてるのに、いざ自分が害されそうになるとじたばた足掻くの、5年前からそうですよね。小物以上になりきれない悪役極まってる!
そしてラクリマちゃんやっぱりなー!
こうしてユリアンたちの動向は筒抜けなわけだ……。どうにか……どうにか救いは……無いですよねえええええこれダークファンタジー!!畳む
ケントゥリアのボイスコミックがつべにアップロードされた!
とうとうアニメ化秒読み……???
キャストが意外だったけど、ボイコミと変わる可能性は大きいしな~!
とうとうアニメ化秒読み……???
キャストが意外だったけど、ボイコミと変わる可能性は大きいしな~!
#生きる ために1週間がんばりました。
先月話が決まったときは無理無理無理無理って思ってたのに、始まったらもう折り返しです。
私は本当に、子供の頃から周りから否定されて自己肯定感を凹む呪いをかけられたんだなあと、褒められる度にいや~でも~と出てしまうことで痛感しています。
後半もできたこと積み上げて、笑顔で帰りたいです。
先月話が決まったときは無理無理無理無理って思ってたのに、始まったらもう折り返しです。
私は本当に、子供の頃から周りから否定されて自己肯定感を凹む呪いをかけられたんだなあと、褒められる度にいや~でも~と出てしまうことで痛感しています。
後半もできたこと積み上げて、笑顔で帰りたいです。
一大イベント真っ最中!!
朝起きるのがつらい!!
でも3日目までちゃんとこなしてる!!
やたら褒められて、自己否定の塊の珍獣は逆にビビってます!!
あと7日頑張ります!!
朝起きるのがつらい!!
でも3日目までちゃんとこなしてる!!
やたら褒められて、自己否定の塊の珍獣は逆にビビってます!!
あと7日頑張ります!!
2026年3月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
#語彙トレ2026 『灰になるまで君を呼ぶ』03/21~03/31分をまとめました。
これにてアルファズル南の大陸マルディアスの物語は、語彙トレではおしまいです。
ちょっと切ない終わり方ですが、全ては狭義の『アルファズル戦記』である西の物語に集約されるため、灰君を長編にする時が来たら、きちんと一本の線を通そうと思います。
前回→632
03/21-彼岸
『やあ。彼岸の淵から語りかけさせてもらっているよ。
マルディアスは「終焉の獣」の破滅からは逃れた。だけど、この話には続きがあるんだ。
眠りと現のはざまで、私が泡沫のように垣間見ている彼らの景色を、君達にも見てほしい。
だから、もう少しだけ、死にぞこないの見る夢に、付き合ってくれるかな?
見てほしいんだ。
朝が来て、花が芽を出し、新しい世界に向かって努力する人々の姿を。
そして、歴史に名は残らないが、たしかに英雄だった、我が息子の行く末を』
03/22-掠奪
世紀末、というものがかつてあったらしい。マルディアスの『鋼鉄の獣』より凶暴な兵器が地を焼き尽くし、死の灰が降り注ぐ世界で、生き残ったひとびとは掠奪の暴力に怯えるしか無かった。そこに、必殺の拳を繰り出す救世主が現れたと。
「それ、旧時代の創作だろ」
ほかのメンバーのからかいに、LINKS隊員の青年は、顔にかけていた漫画本を持ち上げて、身を起こす。
「まあそうだけど」
そして、復興の重機の音が鳴る、ターミナル・ゼロの窓外へ視線を馳せる。
「現実の救世主殿は、拳じゃなくて、銃で終わらせたからなー」
03/23-隠蔽
「ブリームが隠蔽した悪行につきまして、証拠をまとめてきました」
「ありがとう」
執務机に向かうレイティスに、ジークハルトが書類の束を渡す。
アグレイシアに帰ってからの皇女は、まだ回復しきらない父皇王に代わって、戦後処理に慌ただしい。三国の中でアグレイシアだけが、アヌナークの被害を受けなかったのもあって、他国への援助にも追われる中、宰相の悪事の後片付けもしないといけない。
そんなに大変なのに、国に残っているだけだった護衛騎士は淡々と仕事を運んでくる。
「レティ、少し休みなよ」
侍従見習いになったマオは、ぷうと頬を膨らませる。皇女が苦笑した。
03/24-脈動
「おーい、誰か来てくれ!」
ビザーリム研究所跡の片付けをしていた作業員が、瓦礫の山の上から手を振った。ヘルメットをかぶった同僚達が集まると、彼は手にした計測器を指差す。
「妙な波形が見えるんだ」
26 まるで、その下で何かが脈動しているかのように、計測器は微弱な振動を感じ取る。
「『終焉の獣』を格納していた場所だからな。幽霊が出てもおかしくないくらいさ」
「気にすんな気にすんな!」
作業員に言い置いて、仲間達はそれぞれの作業に戻る。
「……マジで怨霊だったりな」
それきり彼もその場を立ち去る。
『私が……マルディアスを……』
怨嗟は誰も聞きもせず。
03/25-転変
世の中は有為転変する。マルディアスでも、三国の力関係は常に変化してきたし、ファルメア帝国が大陸の唯一絶対として君臨していたこともある。その前には、幾つもの小国が乱立して、果てしない争いを繰り返していた。
「今の世が、一番平和だよ」
瓦礫を背に、老人は子供達に語る。まだ街は復興の途中だが、作業をする若者達の表情は明るい。誰もが、長き闘争が終わったことを確信している。
「これからは、お前さん達が、マルディアスの平和を保ってゆくのだぞ」
それを見届けられるまでわしは生きられぬが、と、老人は手にした杖に寄りかかって笑った。
03/26-嗚咽
ふらふらと。溶け果てた建物の間を歩いてゆく男がひとり。顔には火傷の跡があり、右手は手首からぽっきりと折れたかのごとく無くなっている。薄汚れて擦りきれた服をぼろのように纏って、虚ろな目で歩いてゆく彼に、声をかける者はいない。
道に落ちていた岩に足をひっかけ、簡単にバランスを崩して倒れ込む。がん、と痛そうな音がして、こめかみのあたりからじんわりと血が地面に広がり始めた。
「父上……」
子供のようにぽろぽろ涙を流しながら嗚咽する彼を、助けるものはいない。
その襟元から、首にかけたドッグタグが覗いている。
No.1412 LINKS所属
が見える。
03/27-宿命
『あの姉弟が戦うのは、定められた宿命なのだよ』
おかしな笑いを洩らしながら、父はメスを握っていた。
『だから、お前がそこに関わるのも宿命なのだ。役に立たなければ、お前が生きている意味も無い』
泣きたくても泣けなかった。泣きたい、という感情さえ凍りついていった。
なのに、彼は自分を呼んで手を伸ばしてくれた。宿命とか運命などくそくらえとはかりに。ただ一人の大切な幼馴染として、灰になっても構わないとばかりに呼び続けてくれた。
隣で寝息を立てる、どこか幼い寝顔を見つめる自分の胸に、氷を溶かす温かい火が灯るのを感じる。
生きていて良かったと、やっと思えた。
03/28-黎明
三国が統一されて、新生皇国ができることになった。帝国では、ファルメアの悪行を継ぐようで、かといって三国のいずれかを名乗っては、その国が戦勝国のようになる。
三国の生き残った重臣達が頭を悩ませた末の、レイティスを皇王に据えた、『マルディアス統一皇国』の誕生であった。
『黎明期には、ぶつかり合いも、わだかまりもあるでしょう』
戴冠式で、豪奢な衣装に身を包んだ皇王は演説した。
『それでも、皆さん手を取り合って、マルディアスの未来を共に拓いてゆきましょう』
ラジオから流れてくる、凛と張った声に、あの子供返り皇女も立派になったな、と笑みをこぼした。
03/29-泡沫
泡沫の夢、という言葉があるのは、皇王のもとで学び始めて知った。
彼女にはもっと自由に生きて欲しいのに、三国の責任を一身に背負って、逃げることもできない。
「それが上に立つ者として生まれたあのお方の決めた道だ」
護衛騎士は相変わらず平然と言い放つ。
だから決めた。
侍従見習いなんてのうのうとしていないで、剣を取って彼女を守ると。
『あなたはこちら側へ来てはいけない』
かつて言った女性の顔を思い出す。
彼女とその幼馴染の青年を守ることにも繋がるのだ。自分が傷つくことくらい、全然構わない。
そうして、少年は夢から覚めて大人になる。
03/30-虚妄
「『終焉の獣』を倒したのは、この俺様だぜ!」
「嘘つくんじゃねえ! お前みたいな図体ばかりのやつに、あのデカブツを止められるはずがねえだろ! 俺こそが英雄だ!」
「君達、待ちたまえ。本物を前に、それは無いのではないかい?」
ヴァルファレス市街の燃え残った場末の酒場では、今日も虚妄に満ちた、嘘つきどもが囀ずっている。
「はいはいはいはーい。虚飾も妄言もそこまで」
そこに、LINKSのジャケットを羽織った数人の男達が入ってくる。
「俺達の英雄様を騙る奴らは、LINKS権限で逮捕しちゃおうかな~」
「す、すみません出来心でっす!」
今日も揉め事は絶えない。
03/31-凋落
庭に咲いていた花は、すっかり凋落した。
彼女が弱ってゆく日々を数えるように、ひらり、はらりと、少しずつ数を減らしたのだ。
だが、それと引き換えに、大切な思い出はひとつ、またひとつと、積み上がっていった。
「ありがとう」
今際の際に、彼女は凍っていた感情が溶けた、心からの笑みをひらめかせた。
「あなたのおかげで、幸せな人生だった」
愛する人は眠った。養父も永き停止をした。生きている仲間達は、大陸を立て直し、今も先頭に立っている。
ならば、始祖種ヴァーンとして、自分がやることは、ただひとつだ。
大事な人々が生きた、生きている世界を、守るために。畳む
#アルファズル戦記
#灰になるまで君を呼ぶ
これにてアルファズル南の大陸マルディアスの物語は、語彙トレではおしまいです。
ちょっと切ない終わり方ですが、全ては狭義の『アルファズル戦記』である西の物語に集約されるため、灰君を長編にする時が来たら、きちんと一本の線を通そうと思います。
前回→632
03/21-彼岸
『やあ。彼岸の淵から語りかけさせてもらっているよ。
マルディアスは「終焉の獣」の破滅からは逃れた。だけど、この話には続きがあるんだ。
眠りと現のはざまで、私が泡沫のように垣間見ている彼らの景色を、君達にも見てほしい。
だから、もう少しだけ、死にぞこないの見る夢に、付き合ってくれるかな?
見てほしいんだ。
朝が来て、花が芽を出し、新しい世界に向かって努力する人々の姿を。
そして、歴史に名は残らないが、たしかに英雄だった、我が息子の行く末を』
03/22-掠奪
世紀末、というものがかつてあったらしい。マルディアスの『鋼鉄の獣』より凶暴な兵器が地を焼き尽くし、死の灰が降り注ぐ世界で、生き残ったひとびとは掠奪の暴力に怯えるしか無かった。そこに、必殺の拳を繰り出す救世主が現れたと。
「それ、旧時代の創作だろ」
ほかのメンバーのからかいに、LINKS隊員の青年は、顔にかけていた漫画本を持ち上げて、身を起こす。
「まあそうだけど」
そして、復興の重機の音が鳴る、ターミナル・ゼロの窓外へ視線を馳せる。
「現実の救世主殿は、拳じゃなくて、銃で終わらせたからなー」
03/23-隠蔽
「ブリームが隠蔽した悪行につきまして、証拠をまとめてきました」
「ありがとう」
執務机に向かうレイティスに、ジークハルトが書類の束を渡す。
アグレイシアに帰ってからの皇女は、まだ回復しきらない父皇王に代わって、戦後処理に慌ただしい。三国の中でアグレイシアだけが、アヌナークの被害を受けなかったのもあって、他国への援助にも追われる中、宰相の悪事の後片付けもしないといけない。
そんなに大変なのに、国に残っているだけだった護衛騎士は淡々と仕事を運んでくる。
「レティ、少し休みなよ」
侍従見習いになったマオは、ぷうと頬を膨らませる。皇女が苦笑した。
03/24-脈動
「おーい、誰か来てくれ!」
ビザーリム研究所跡の片付けをしていた作業員が、瓦礫の山の上から手を振った。ヘルメットをかぶった同僚達が集まると、彼は手にした計測器を指差す。
「妙な波形が見えるんだ」
26 まるで、その下で何かが脈動しているかのように、計測器は微弱な振動を感じ取る。
「『終焉の獣』を格納していた場所だからな。幽霊が出てもおかしくないくらいさ」
「気にすんな気にすんな!」
作業員に言い置いて、仲間達はそれぞれの作業に戻る。
「……マジで怨霊だったりな」
それきり彼もその場を立ち去る。
『私が……マルディアスを……』
怨嗟は誰も聞きもせず。
03/25-転変
世の中は有為転変する。マルディアスでも、三国の力関係は常に変化してきたし、ファルメア帝国が大陸の唯一絶対として君臨していたこともある。その前には、幾つもの小国が乱立して、果てしない争いを繰り返していた。
「今の世が、一番平和だよ」
瓦礫を背に、老人は子供達に語る。まだ街は復興の途中だが、作業をする若者達の表情は明るい。誰もが、長き闘争が終わったことを確信している。
「これからは、お前さん達が、マルディアスの平和を保ってゆくのだぞ」
それを見届けられるまでわしは生きられぬが、と、老人は手にした杖に寄りかかって笑った。
03/26-嗚咽
ふらふらと。溶け果てた建物の間を歩いてゆく男がひとり。顔には火傷の跡があり、右手は手首からぽっきりと折れたかのごとく無くなっている。薄汚れて擦りきれた服をぼろのように纏って、虚ろな目で歩いてゆく彼に、声をかける者はいない。
道に落ちていた岩に足をひっかけ、簡単にバランスを崩して倒れ込む。がん、と痛そうな音がして、こめかみのあたりからじんわりと血が地面に広がり始めた。
「父上……」
子供のようにぽろぽろ涙を流しながら嗚咽する彼を、助けるものはいない。
その襟元から、首にかけたドッグタグが覗いている。
No.1412 LINKS所属
が見える。
03/27-宿命
『あの姉弟が戦うのは、定められた宿命なのだよ』
おかしな笑いを洩らしながら、父はメスを握っていた。
『だから、お前がそこに関わるのも宿命なのだ。役に立たなければ、お前が生きている意味も無い』
泣きたくても泣けなかった。泣きたい、という感情さえ凍りついていった。
なのに、彼は自分を呼んで手を伸ばしてくれた。宿命とか運命などくそくらえとはかりに。ただ一人の大切な幼馴染として、灰になっても構わないとばかりに呼び続けてくれた。
隣で寝息を立てる、どこか幼い寝顔を見つめる自分の胸に、氷を溶かす温かい火が灯るのを感じる。
生きていて良かったと、やっと思えた。
03/28-黎明
三国が統一されて、新生皇国ができることになった。帝国では、ファルメアの悪行を継ぐようで、かといって三国のいずれかを名乗っては、その国が戦勝国のようになる。
三国の生き残った重臣達が頭を悩ませた末の、レイティスを皇王に据えた、『マルディアス統一皇国』の誕生であった。
『黎明期には、ぶつかり合いも、わだかまりもあるでしょう』
戴冠式で、豪奢な衣装に身を包んだ皇王は演説した。
『それでも、皆さん手を取り合って、マルディアスの未来を共に拓いてゆきましょう』
ラジオから流れてくる、凛と張った声に、あの子供返り皇女も立派になったな、と笑みをこぼした。
03/29-泡沫
泡沫の夢、という言葉があるのは、皇王のもとで学び始めて知った。
彼女にはもっと自由に生きて欲しいのに、三国の責任を一身に背負って、逃げることもできない。
「それが上に立つ者として生まれたあのお方の決めた道だ」
護衛騎士は相変わらず平然と言い放つ。
だから決めた。
侍従見習いなんてのうのうとしていないで、剣を取って彼女を守ると。
『あなたはこちら側へ来てはいけない』
かつて言った女性の顔を思い出す。
彼女とその幼馴染の青年を守ることにも繋がるのだ。自分が傷つくことくらい、全然構わない。
そうして、少年は夢から覚めて大人になる。
03/30-虚妄
「『終焉の獣』を倒したのは、この俺様だぜ!」
「嘘つくんじゃねえ! お前みたいな図体ばかりのやつに、あのデカブツを止められるはずがねえだろ! 俺こそが英雄だ!」
「君達、待ちたまえ。本物を前に、それは無いのではないかい?」
ヴァルファレス市街の燃え残った場末の酒場では、今日も虚妄に満ちた、嘘つきどもが囀ずっている。
「はいはいはいはーい。虚飾も妄言もそこまで」
そこに、LINKSのジャケットを羽織った数人の男達が入ってくる。
「俺達の英雄様を騙る奴らは、LINKS権限で逮捕しちゃおうかな~」
「す、すみません出来心でっす!」
今日も揉め事は絶えない。
03/31-凋落
庭に咲いていた花は、すっかり凋落した。
彼女が弱ってゆく日々を数えるように、ひらり、はらりと、少しずつ数を減らしたのだ。
だが、それと引き換えに、大切な思い出はひとつ、またひとつと、積み上がっていった。
「ありがとう」
今際の際に、彼女は凍っていた感情が溶けた、心からの笑みをひらめかせた。
「あなたのおかげで、幸せな人生だった」
愛する人は眠った。養父も永き停止をした。生きている仲間達は、大陸を立て直し、今も先頭に立っている。
ならば、始祖種ヴァーンとして、自分がやることは、ただひとつだ。
大事な人々が生きた、生きている世界を、守るために。畳む
#アルファズル戦記
#灰になるまで君を呼ぶ
私もかなりかまってちゃんだという話。
ちょっと昨夜から気圧にやられたところに色々衝突して、メッチョメチョに落ち込んでいたのです。
でも承認欲求出すのはどうなのか、と話したところ、むしろ構ってほしいとはっきり言っている人のほうが声をかけやすいと諭されまして……。
我、もうちょいワガママ言ってていいのか!?
となった次第です。
私だって人並みに、いやもっと承認欲求あるよ! プライドはチョモランマ級だよ!!
小説も絵も漫画も見て欲しい! 感想欲しい! 落ち込んだら励まして欲しい!
人見知りするので上手く言えるかわからないけど、感想お返ししたい!!
これくらいは、主張していいのかと……。
明後日からちょっと2週間ほど、自尊心を賭けた戦いに赴くので、がんばってきたいまんじゅうに、はげましのお言葉をー!!
とじたばたしまくっております。畳む
#生きる
ちょっと昨夜から気圧にやられたところに色々衝突して、メッチョメチョに落ち込んでいたのです。
でも承認欲求出すのはどうなのか、と話したところ、むしろ構ってほしいとはっきり言っている人のほうが声をかけやすいと諭されまして……。
我、もうちょいワガママ言ってていいのか!?
となった次第です。
私だって人並みに、いやもっと承認欲求あるよ! プライドはチョモランマ級だよ!!
小説も絵も漫画も見て欲しい! 感想欲しい! 落ち込んだら励まして欲しい!
人見知りするので上手く言えるかわからないけど、感想お返ししたい!!
これくらいは、主張していいのかと……。
明後日からちょっと2週間ほど、自尊心を賭けた戦いに赴くので、がんばってきたいまんじゅうに、はげましのお言葉をー!!
とじたばたしまくっております。畳む
#生きる
ポメラのアルファズル番外編フォルダを漁ってたら、全く記憶に無い、西の大陸の番外編がぽろぽろ出てきた。
大体は途中で止まってて、何をしたかったのかわからないんだけど、ひとつだけ、イリスとアッシュの、使えそうな完成品があったので、どこかで無配とかに収録しようと思います。
いやほんと忘れてた。最近は雪春ばかりでほんと忘れてた!
#アルファズル戦記
大体は途中で止まってて、何をしたかったのかわからないんだけど、ひとつだけ、イリスとアッシュの、使えそうな完成品があったので、どこかで無配とかに収録しようと思います。
いやほんと忘れてた。最近は雪春ばかりでほんと忘れてた!
#アルファズル戦記
灰君が一旦終息したので、北の大陸の番外編を始めました。
GWの文フリで刊行する下巻の範囲に足を突っ込んだ話が多いのは、上巻範囲縛りにすると、掘り下げる事が少ないからです!
04/01-鮮烈
『私はこの世界「アルファズル」で起きた、大きな戦乱と、その先にある始祖種と神の戦いを、生涯を懸けて、物語として記すことにした。
その為に、東西南北四つの大陸を旅し、現地のひとびとから伝説を語り聞いて、懸命に書き留めた。
北の大陸フィムブルヴェートで聞いた伝承も、始祖種ダイナソアの竜兵と人間の王子の愛の物語は、私の心に鮮烈な印象を焼きつけた。
しかし、それは本伝「雪が解けて春になる」に書くとして、この番外編では、本伝で語られることの無い小さな出来事を記してゆこう。』
(シフィル・リードリンガー著『アルファズル戦記 異聞録』)
04/02-呪文
呪文のように繰り返された。
「そなたは英雄リヴァティの正統なる子孫。生まれながらにしての王の器なのですよ」
だから傲然とあった。なのに格下の連中は自分を恐れて離れていった。
「下々の顔色など疑わなくて良いのです。失礼な者は切り捨てなさい」
言われた通りにした。誰も自分をまっすぐに見なくなった。正面から見てくるのは、弟だけになった。
「あのような下賎な血を引く者と、そなたが、対等などとあり得ないのです」
心地の良い呪いの言葉にすがった。
結果、母は毒の入った茶を飲んでひっくり返った。
命じたのは自分だ。
ああ、やっと解き放たれる。
04/03-追憶
母の祖国へ、一度だけ行ったことがある。叔母を埋葬するためだ。彼女が悪意を受け続けた国に弔うのは嫌だと、母が言ったのだ。
薄ピンクの桜が舞う中、母方の祖父が立ち会った。叔母は庶子で皇女とは認められなかったが、祖父はきちんとこのひととその母親を愛していたのだと思い知った。
墓石の前で、はなをすすり上げながら泣く、幼い従弟の手を握り、この子は自分が守らないといけないと誓った。自分に優しかった叔母の分まで。
なのに。
兄の凶刃の前に、従弟は桜のように儚く散った。
追憶の中で、あの子は今も朗らかに笑っているのに、もう握る手はここに無い。
04/04-摩耗
「お前は本当に馬に乗るのが下手だな」
親友兼相方のマイケルに馬上から見下ろされて、ニーザは軽く舌打ちした。
「なんでお前はそんなしれっと乗りこなしているんだ」
主君のヒオウ王子さえ、やんちゃな馬に振り回され、手こずっている。ニーザに至っては、何回振り落とされたかわからない。心が摩耗して折れても仕方無いくらいだ。
なのに、このなんでもそつなくこなす幼馴染は、主君の先すら超えて、馬をどうどうとなだめている。
『マイケルは本当にすごいな』
お世辞でもなんでもなく、あるじは言うのだ。
『ニーザも。よく諦めない』
本当に、悪気が無いから、困ったひとだ。
04/05-逆説
「おはよう、コウ」
やたら野太い声が聞こえる。自分をその名で呼ぶ者は、ひとりしかいない。
振り返ると、筋骨隆々として、自分より背の高くなった、銀の髪に金の瞳の竜兵が、軽々と自分を抱き上げた。
「ゼファー!?」
驚いた自分の声が高い。
「はは、コウは可愛いね」
言われて自分の身をあらためる。髪が伸びて、男には無い凹凸がある。
悲鳴をあげたところで、寝台の上にがばりと起き上がって目が覚めた。
「願望が逆説的に叶った夢じゃないですか」
あまりにもあんまりだったので、軍師にこぼしたら、彼は腕組みして『そんな話を俺にするな』とばかりにうんざりしていた。
04/06-桎梏
『隷属国の娘の子が、王子面をして』
血筋を尊ぶ連中は、そう言って嗤った。
『あなた様こそが、この国の希望なのです』
民は兄のいない隙に、すがりついてきた。
どう足掻いても自由にならない、桎梏で雁字搦めにされた人生で終わるのだと思っていた。
それなのに。
「コウ!」
君が私のもうひとつの名前を呼ぶ度に、どれだけ嬉しくなったことか。その笑顔に、磨り減った精神をどれだけ救われたことか。
だから、君の力になろう。若くして大陸の命運を背負った君の槍に、盾になって、守り抜こう。
幼い頃、誰かを守ることの大切さを教えてくれた、君のために、この命を懸ける。
04/07-沈殿
母の言葉は呪いだった。
『神にもなれる血筋なのに、兄の役にすら立てないとは、そなたは失敗作であることよ』
『ああ、ああ、あの女の息子のようにうざったい。その顔をわたくしに見せるでない』
『おまえなぞ、産むのではなかった』
自分勝手な言葉は、わたしの心の泉に、毒を沈殿させていった。
王宮の奥に押し込められて、使用人にも無視されて、泣いてばかりの日々。
『ぴいぴい泣くな。うっとうしい』
そうぶっきらぼうに言いながら、白い薔薇を手折って差し出した兄の顔は、逆光でどういう表情をしているかわからなかった。
だけど、たしかに彼はわたしの太陽になった。
04/08-昏迷
この大陸は、ひとを『鬼』にする『霧』に覆われている。いつからそうなのかわからない。ただ、かつて外の大陸との交流はあり、『霧』によってそれが全て遮断されたのはたしかだ。
僕の叔母も、水を汲みに行って、うっかり『霧』に触れてしまった。叔父がどんなに呼びかけても、昏迷に陥ったように応じず、虚ろな顔は次第次第に白く変わっていった。
『娘にこんな母親を見せるくらいなら』
叔父は剣を持ち出し、反応しない叔母を斬った。白い血を噴き上げながら仰向けに倒れてゆく叔母は、ひとならざる顔で、ゆるりと優しく微笑んで。
『……ゴメンネ』
と涙一筋をこぼした。
04/09-逸脱
竜族は、過ぎたる力を持ってこの大陸を脅かす、摂理から逸脱した存在だと、ひとびとが騒いだ時代があった。
「まだ、竜族が始祖種の代わりに大陸の守護者として生まれたのだと、認識されてない頃だったからね」
湖畔で語る竜王の言葉に、幼い竜兵達は表情を曇らせる。
「だが」
美しい竜王がぱちんと指を鳴らすと、湖面が波立ち、獣の姿を取った。
「『竜王に害意がある者を決して通さない』この湖が、こうして不届き者を追い返し、当時の竜王を守ったのだよ」
「やはり竜王様はすごいんですね!」
興奮気味になる竜兵の長兄に、竜王はゆるりと笑み返してみせた。
04/10-郷愁
ノスタルジア、という地域がある。郷愁の名を冠したその地には、古くから吸血鬼が棲んでいた。
『鬼』とは異なる生態系を持ち、『鬼』とは違ってひとの姿に近く、理性も保っている。だが、ひとの血を好んですすり、不死者の眷属を増やすあたりは、フィムブルヴェートのどの種族とも違う。
彼らがどこから来たのか。『霧』に閉ざされた世界では最早わからない。たしかなのは、彼らがひとに害をなす脅威であることだけだ。
「……害獣と同じだな」
心臓を貫かれて朝日に溶けてゆく吸血鬼を、蒼い瞳で見下ろしながら、吸血鬼狩りの青年は、仕込み杖の刃についた血を振り払って、納刀した。畳む
#アルファズル戦記
#雪が解けて春になる