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七月のなまけもの
七月のなまけもの

『七月のなまけもの』は

たつみ暁個人サイトならびに個人サークル名です。
ファンタジー小説中心に、現在まったり気まぐれに運営中。オフライン活動もしております。
作品のレーティングは特にしていませんが、作中で予告無しに暴力・流血表現が出て来たり、性的な描写をにおわせたりする場面があります。苦手な方はご注意を。
このサイトに掲載されている文章や画像の無断転載、引用、自作発言を固く禁じます。ヘッダーとアイコンのイラストはkit様画です。

イベント参加予定

+2026/05/03(日)~05/05(火祝)サロン・ド・ピクリエ5(オンライン/申込済)
+2026/05/04(月祝)文学フリマ東京42(申込済)
+2026/05/22(金)~05/24(日)あなたのセカイの物語2(オンライン/申込済)
+2026/06/06(土)~06/07(日)個人サイトWebオンリー めぐる市(オンライン/申込済)
+2026/06/07(日)COMITIA156(申込済)
+2026/09/13(日)文学フリマ大阪(申込済)
+2026/10/31(土)~11/01(日)紙本祭8(オンライン/申込済)

お知らせ

✳2026/02/13、くるみ舎こはく文庫様より、いぬい真宵名義で新作ティーンズラブ中編小説『婚約破棄は違法です! ~追放された悪役令嬢は辺境の教会で恋に堕ちる~』が配信開始されました。(くるみ舎様のページに飛びます。18歳未満のかたはご遠慮ください)
・執筆活動履歴、受賞歴、商業作品履歴につきましては、こちらにあります。
・ものかきの仕事ご依頼、アンソロジー寄稿などは、こちらからご連絡くださると幸いです。得意分野は異世界ファンタジーで、哀しみや試練を乗り越えて未来に続くハッピーエンドが好きです。他ジャンルも全年齢向け、ティーンズラブ共に積極的に取り組みますので、是非ご相談ください。


・サイト名 七月のなまけもの
・管理人名 たつみ暁(タツミ アキラ)
・X @tatsumisn
・小説投稿サイト カクヨムエブリスタ小説家になろう
・同人誌通販 架空ストア様
・FANBOX pixivFANBOX
・問い合わせ こちらのフォームへ
・サイトURL https://tatsumi-sloth.club/

2026年3月 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する

ブルスカでお題連載していた #語彙トレ2026 『灰になるまで君を呼ぶ』03/11~03/20分にて、本編完結いたしました!

FIND THE WAYが流れ出しそうなくらい半端な締め方ですが、この終わりはもう、先月、中盤を書いているあたりから想定していました。
長編に直す時が来たら、じっくり考えます。

前回→624


03/11-残響
『わたくしは、アグレイシア第一皇女レイティス・ナディア・アグレイシアです。LINKSの皆様のお力を借りて、今、皆さんに語りかけています』
 三国救難チャンネルを使ったレイティスの言葉は、煙を立てる都市に、煤まみれの顔の人々の耳に、残響を伴って広がる。
『この戦争は、三国の野心を抱く者達が皆さんを煽動し、泥沼化させました。ですが』
 一瞬息継ぎをして、皇女は続ける。
『終わらせるのも人の力だと、わたくしは信じております。現に今、わたくしの大切な仲間が、「終焉の獣」に立ち向かっています』
 マイクに向かう凛とした横顔に、マオは思わず見入っていた。

03/12-耽溺
『皆さん、どうか、目の前の事実に目を向けてください。野望に耽溺する者の、甘い言葉に踊らされず、目にしたものを信じてください。その為にも、まずは隣人を救い、手を取り合ってください』
 皇女の言葉に、ただ迫り来る恐怖にとらわれていた人々が、顔を見合わせ、手を伸ばす。
「誰か、手を貸してくれ! 助けるぞ!」
 足が瓦礫の下敷きになって動けない女性を、人が集まって救い出す。
 彼らの見上げる先には、『鋼鉄の鳥』が翼を広げている。そこから『終焉の獣』アヌナークに乗り移るふたつの人影があるのを見届けた者は、ほとんどいなかった。

03/13-慈雨
 干天の慈雨だ。ジークハルトは唇の端を持ち上げた。
「み、皆さん! 騙されないで! わたくしが!」
 慌てて取り繕うが、所詮ブリームの愛人だった下級貴族の女に、本物の皇女を超える言葉は出せまい。
「黙れ、馬鹿者が!」
 ぱん、と乾いた殴打の音が響く。
「役に立つかと目をかけてやれば、肝心なところでしくじりおって! 皇家を乗っ取る計画が台無しだ!」
 ブリームは女を罵る。愚かの極みだ。
「まだ放送が入っていることをお忘れか?」
 ジークハルトの揶揄に、宰相ははっと放送機器を振り返る。
「咎人の断末魔を、アグレイシアの民に」
 鋼の刃が、振り上げられて。

03/14-変貌
 迷宮のようなアヌナークの体内を、ディックスとティナは駆け抜ける。普通の廊下に見えた通路が、侵入者を関知して防衛機構が作動し、生き物のように胎動して、迎撃システムがずらりと並んだ、獣の腹の中のごとくに変貌する。
 放たれた光線を転がってかわし、起き上がり様に銃弾を撃ち込む。一撃は鋭く防衛機構を穿つ。ティナが一睨みしただけで砲口は凍りついて沈黙する。
 身体の奥で血が騒ぐ。この奥に、いる。
 血を分け合ったきょうだいが。アヌナークの核が。
「ディックス!」
 思考を逸らした瞬間、ティナが珍しく感情的に叫ぶ。目の前に飛び出した彼女の脇腹を、光線が貫いた。

03/15-興趣
「ティナ!」
 血を吐いて倒れ込む幼馴染の身体を支える。長年の反射で、傷口を凍りつかせて血を止めたようだが、傷の深さは誤魔化せまい。
『興趣があるだろう?』
 奥の扉から女の声が聞こえる。
『愛する女の命が尽きる前に、「私」を撃たねば、世界が終わるぞ』
 ティナを横抱きにしたまま、扉へ向かう。扉はディックスを待っていたかのように自動で両開きになる。
 そこにあったのは、脈打つ巨大な心臓、アヌナークの核。そしてそれに下半身が埋まり込むように同化している、赤い髪の女性。
「……ミランダ姉さん」
 名を呼べば、核は、あかい唇をつり上げてにたりと笑った。

03/16-凛冽
 炎が鞭のようにしなって襲いかかってくる。ティナを抱いたままではまともに戦うことができない。
「……ディックス」
 逡巡していると、幼馴染が必死に声を絞り出した。
「このまま、核のそばへ。私が、一撃叩き込んで、あなたが撃つ、隙を作る」
 彼女にこれ以上の無茶はさせたくない。命にも関わるだろう。だが、それ以上の最善の策も無い。ひとつうなずくと、床を蹴った。
 ミランダは最早自我が無いのか、高く笑いながら炎を振り回す。かわせるものはかわし、かわしきれないものは甘んじて食らって、アヌナークの核に肉薄する。
 ティナが手を伸ばす。凛冽な一撃が、核を凍らせた。

03/17-穿つ
「ありがとう、ティナ」
 幼馴染に静かに礼を述べ、彼女を片腕に抱いたまま、銃を取り出し、アヌナークの核に向ける。
「……ディッ……クス」
 ぽろぽろと氷の破片を零しながら、アヌナークの核が、いや、ミランダが、弟の名を呼んだ。
「マルディアスの未来を、あなたの手で」
 ミランダが微笑む。幼い頃自分に向けてくれた、あの無邪気な笑顔で。
 手が震える。銃口がぶれる。
 だが、やり遂げなくてはならない。レイティスが望み、LINKSが守ろうとし、自分が開く、未来のために。
「……姉さん」
 小さく呟く。
「さよなら」
 銃声が響き、そして、核の額を穿った。

03/18-堆積
 アヌナークの攻撃で溶け落ちた建物の残骸が、土砂のように堆積している。そんな中でも、人々は手を取り合い、助け合い、必死に生き延びようとしている。
 完全に動きを停止して彫像になった『終焉の獣』から、ディックスは足を踏み出した。
『よくやった、ディックス』
 ギルガメッシュの通信が入る。
『私の心残りもようやく片付いた。エンリルの中で永い眠りにつくよ。「鋼鉄の鳥」が再び必要となる日まで』
「……ああ」
 ぼんやりと返事をして、付け加える。
「おやすみ、父さん」
 それきり通信が切れる。
 腕の中の、完全に生命活動を凍らせた幼馴染に視線を移した。

03/19-虚飾
「ティナ、終わったよ」
 固く瞳が閉じられた幼馴染に呼びかける。そうすれば目を開いて、自分をその目に映し出してくれるのではないかと期待して。
 だが、現実は残酷だ。
 三国上層部の虚飾に満ちた野望の果てに、大陸は大きく破壊され、国家は機能をなさず、愛する人は。
「ティナ」
 名前を呼ぶ。何度も。ぽたぽたと涙が零れ落ちる。たとえ自分が燃え尽きて灰になってもかまわない。ヴァーンの炎が、彼女に命の灯火を与えてくれるなら。
『大丈夫、ディックス』
 姉の声が聞こえた気がした。かと思うと、冷たかった頬に赤みがさす。
 長い睫毛が震えて、黒い瞳がその下から現れた。

03/20-陽炎
 奇跡は起きた。
 アグレイシア皇女が終戦を宣言する放送は、三国救難チャンネルで流れ続ける。
 今はまだ、陽炎のように儚い希望でも、いつか必ず大地は息を吹き返し、花を咲かせるだろう。人々は生きることを諦めず、国を越えて手を握り合うだろう。
 東の空が白んでくる。マルディアスの大地に新しい朝がやってくる。
 灰になるまで呼び続けた声は、愛しい人を呼び戻した。この先彼女がどれだけ生きるかなどわからない。それでも、彼女が、生きていて良かったと最期に笑えるように、寄り添っていよう。
『皆さん、おはようございます』
 レイティスの声が、明るく響き渡った。畳む


#アルファズル戦記
#灰になるまで君を呼ぶ

創作,小説

ここ数日、朝活をしている。
今までは、家を出る時間までダラダラ動画を見て、時にはやる気を無くしていたんたけど、「ここまでやろう」って、トレス練習とか、「見直すだけでも」と習作をポメラで開くと、なんかいつもより元気が出るんですよね。

「できなくても自分を責めないこと」
と教えてもらったので、できない時はとやまソフトセンターの狂犬病予防注射ドタバタ劇の動画を見ています。イッヌ可愛いねえ。
動物を飼うのは、自分のさまざまな余裕が無くてできないし、自分を支えるのに精一杯な珍獣に、生き物への責任を持つことは不可能なので、見て満たされます。

ひとりごと2026年

小説ページに更新したcssが反映されて、スマホで見た時の本文の文字が適切になったけど、上下ボタンがあると、本文ラスト数行が見えなくなる……。
要らないかな~、そうすると全ページから消すことになるのだけど、ソースどこいじればいいのか忘れた……。cssじゃなかったら、また全ページに適用させるpy作って反映させて、全ページアップロードですよ!(ダァン)

#まんじゅうのサイト改装奮闘記

メモ

昨日の #雪が解けて春になる 漫画ですが、ヒオウの服の襟を盛大にコマごとに間違えてることに気づきました!
記憶力無いとこれだよ!! 髪の毛はできるだけ同じになるように注意してたのに! 椅子や窓の高さもなんとなく考えてたのに!!

いうて、昔漫画を描いていた頃は、パースとか遠近法とかバランスとか、なーんも考えずに勢いで描いてたし、「引きの絵を描くといいですよ」とアドバイスをいただいたので、精進します。

精進するほどまた漫画を描くの???

ひとりごと2026年,創作

3/10から、雪春の漫画なんて突然描き始めていました。
習作文章を4ページに抜き出したのですが、小説とマンガのセリフ量の差よ! かなり削りました。
表現が変わると取捨選択も変わるの面白い~!

20260314194803-admin.png 202603141948031-admin.png 202603141948032-admin.png 202603141948033-admin.png畳む

#アルファズル戦記
#雪が解けて春になる

ひとりごと2026年,創作,マンガ

また日記の日が空いた!!

いや、最近創作意欲がメキメキしておりまして。朝活まで楽しくやっております。
だらだらと動画を見るよりメリハリがつくし、今は文章でなくてお絵描きのターンなので、進捗が目に映っていいですね。左向きが変なのは直せていないですが……。

人様に見せるつもりの無い、自分で楽しむ範囲で描いていたのですが、折角ここまで描いたので、完成したら公開します。はい公開します!

日記,ひとりごと2026年,創作

15年前の今日の話。
まだつらいひともいらっしゃると思うので、畳みます。

今日、話しかけようとしたら「人と話したくない」って完全に塞ぎ込んでいるひとがいて、機嫌悪いのかな、と思っていた呑気な私がいました。
が、後から話せる状態になったので聞いたら、3.11がものすごいトラウマとのこと。
私が呑気すぎた……。

15年前の今日、私はお台場で新しい派遣の仕事を始め、研修最終日の試験を受けていました。
「あの時刻」にまさに。
揺れて揺れて、近くの工事中のビルで火災が起きて、生まれて初めてと言っていいくらい、死というものは傍らに寄り添っているのだと痛感しました。

その後7時間かけて帰宅しました。よく帰宅できたな……。携帯の電池は底をついていました。
ブーツで数駅歩いたので、次の日はすごい筋肉痛でした。

あれからもう15年なんですねえ……。
一番下の甥はあの日を知りません。生まれていないから。
姪たち2人は、家にいて、テーブルの下に咄嗟に潜ったそうです。
あの子たちも、ずいぶん立派になりました。

そして私は今日もぼんやりと生きています。
また明日、もしくは今夜、また揺れるかもしれないと、気にしていたら生きられないので。
でも、あの日見た黒煙、返ってこなかったメール、雨の冷たさ、つった足、「電車動きまーす!」と叫んだ駅員さんの声。
何もかもが、最近の記憶より今も明瞭に脳裏に浮かぶのです。畳む


#生きる

ひとりごと2026年

小説ページを! 少してこ入れしました!!
ずっと文字が小さすぎて見えてなかったのを、「レスポンシブが有効になっていない」とアドバイスを受けて、無理矢理ですが反映させるコードを突っ込みました。
その前にcssを少しいじってしまって、本文文字だけ大きくしてしまったので、後々直します。

いやー……オンラインイベントラッシュが来るまでに間に合って良かった……。
あと、「MORE」を押しても「MORE」って表示されたままなのがめちゃくちゃ気になって仕方無かったので、開いたら「CLOSE」になるように、これも力技しました。

ちょいちょい今後も直してゆくと思います。

#まんじゅうのサイト改装奮闘記

日記,メモ,ひとりごと2026年

『灰になるまで君を呼ぶ』03/01~03/10
#語彙トレ2026 3月上旬です。
まだ3月ですが、灰君はクライマックスに向かっています。

前回→618
続き→632

03/01-撹拌
「ディックス!」
「無事だったか!」
「ったく、悪運はいいよなお前も」
 マオと共にエンリルに乗り込むと、LINKSの同志達が出迎え、ばしばし叩いてきた。狸に拘束されたはずではなかったかと思うが、ギルガメッシュの機械化を思えば、留置所の鍵を無効化するのも朝飯前だろう。
「俺達も行くぜ、あの狸とエンリケの野郎をぶっ飛ばしによ」
 頼もしい同僚達に笑い返した時。
 ごう、と炎が窓の外をなめ、さっきまでいた町を一瞬にして火の海にした。
 人も建物も溶け、まるでクリームのように撹拌されてどろどろの大地になる。その上を、『終焉の獣』アヌナークが飛び去っていった。

03/02-萌芽
 行く先の大地を焼き尽くしながら、アヌナークはアサル=アリムへ向かって飛んでゆく。幸い、武器を搭載せずに御せる分、エンリルの方が速く飛べるので、破壊の萌芽がヴァルファレスを覆う前に、首都に帰りついて、大統領の手からレイティス達を取り戻さなくてはならない。
 彼女はアグレイシアとの和平の為に必要な存在だ。決して失われてはならない。
 それと同じくらい、ティナは自分の中で深く根を張っている。家族に恵まれなかった彼女には、もう自分しかいない。次に手を握ったら、もう二度と手を離さない。
 決意するディックスの視界に、アヌナークの接近で混乱する首都が見えてきた。

03/03-爛漫
 摩天楼が並び立ち、その輝きから『爛漫の夜景』と呼ばれた、アサル=アリム首都ヴァルファレスは、混乱の極みにあった。誰もが破壊兵器の接近に混乱に陥り、首都を脱出しようと押し合い圧し合い、老人が踏み潰され、親とはぐれた子供が人波に流されるのが、エンリルの窓からでも見える。
 混沌の極みを眼下に見ながら、エンリルはただひとつの建物を目指して飛ぶ。
 ヴォルフ大統領が君臨する、エヴァータワーを。
『最上階に着けるぞ』
 脳を組み込まれたギルガメッシュが、エンリル内に響き渡る機械音声で告げれば、LINKSの誰もが、手を叩いて喝采の嵐を巻き起こした。

03/04-朧
 強化ガラス越しに朧気に見える満月を、革張りチェアに座りながら見上げて、ヴォルフ大統領はぷかぷかと葉巻をふかしていた。やがて振り向く先には、エンリケに銃を突きつけられたレイティスと、その後ろに、顔色の悪いティナがいる。
「簡単なことですよ、皇女殿下」
 でっぷりとした体を持ち上げ、レイティスの鼻先に葉巻を突き付ける。
「皇国と連絡を取る手段はお持ちでしょう? 貴女の騎士に、宰相を通して敗北宣言一言お願いします、と言えば、この戦いは終わる」
「終わりません」
 皇女は強い目力で見返す。
「あなた方権力者の起こした戦は、ただの破壊行動です」

03/05-予兆
 大統領の顔が醜く歪んだ。葉巻の火をレイティスに押し付けようとした瞬間、ティナが咄嗟に腕を割り込ませて、そこで火を受けた。兵服が焦げて肌にも確実に火傷を負ったはずなのに、苦痛ひとつ見せない。それには、大統領もエンリケも唖然とする。
 さらには、駆動音が強化ガラス越しに聞こえてくる。
 それを予兆に、ガラスを破る大轟音が響いて、『鋼鉄の鳥』エンリルがエヴァータワーの最上階に突っ込んできた。
「レイティス!」
 仰天して腰を抜かす大統領にも、呆気に取られるエンリケにも構わず、搭乗口から身を乗り出してディックスは叫んだ。
「ティナも! 一緒に来い!!」

03/06-孤独
 ずっと独りだと思っていた。
 父に愛されず、周囲からは敬遠され、兵士達と出撃しても距離を取られた。
 孤独の中で、独り心まで凍りついて、人生を終えるのだと思っていた。
 それなのに。
「ティナ!」
 その身に始祖種の血を宿した幼馴染は、炎のように情熱的に自分の名を呼び、手を伸ばすのだ。
 まるで、灰になって燃え尽きても構わないと。その灰の中から、伝説の不死鳥のごとく蘇ってみせようとばかりに。
 手を伸ばそうとしたところに、エンリケが銃を向ける。一睨みでその手ごと氷結させる。
 レイティスが『鋼鉄の鳥』に乗り込む。それに続けば、しっかりと抱き締められた。

03/07-幻視
 皇女とその護衛を連れて、『鋼鉄の鳥』がエヴァータワーから飛び去る。びょうびょうと高層の風が吹き込む中、エンリケは、へたり込んで変な笑いを漏らし続ける大統領に目を向けた。
「は……はは……。儂が三国を……マルディアスを……」
 葉巻が手からぽろりとこぼれ落ちる。最早彼は、自分が覇者になる、ありえない未来を幻視して、エンリケのことどころか、現実も見えていないだろう。
 砕けたガラスのカンバスに、『終焉の獣』アヌナークが大写しになる。大統領は、迫る死を認めず笑っている。
 これが裏切り者の末路か。
 エンリケの凍った手が砕け落ち、アヌナークが火を吹いた。

03/08-散逸
 アヌナークは『終焉の獣』さながら、ヴァルファレスに破壊をもたらした。地面が燃え、建物が溶けて、人々が逃げ惑う。国軍の将は散逸した兵を引き留めようと必死だが、人の力の及ばぬ獣の前には無力だった。
「ギル」
 ディックスは銃に弾込めをしながら、養父に呼びかける。
「皇女の言葉を三国救難チャンネルで。その間に俺がアヌナークに乗り込んで、姉さんを」
 言いさして一瞬目を閉じ、無邪気に笑っていた赤髪の少女の幻を振り払う。
「アヌナークの核を撃つ」
『……わかった』
 こちらの覚悟を受け取ってくれたのだろう。アンドロイドの養父はこくりと頷いた。

03/09-瓦解
「ディックス」
 冷たい手が、銃を握る手の甲に触れた。
「私も行く。炎のヴァーンの加護を受けるアヌナークには、私の力が効くかもしれない」
 ティナはあくまで淡々と語る。正直なところ、彼女を死地に同行させたくはない。ティナには、日の当たる場所で穏やかに笑っていて欲しい。
 彼女が一人でそれをすることを望まないと知っているから、ディックスは溜息ひとつ落とし、幼馴染の黒い瞳を見つめる。
「俺から離れるなよ」
 ティナが軽く頷く。
『お前達が失敗すれば、全てが瓦解し、マルディアスは滅びる。心しろ』
 ギルガメッシュが告げる中、エンリルはアヌナークに接近した。

03/10-煽情
『アグレイシアの皆さん、今こそ反撃の時です』
 艶を帯びた煽情的な声がラジオから聞こえる。違う。彼女はこんな、女を武器にした媚びるような喋り方をしない。
『ジュメールはアサル=アリムと共謀して破壊兵器を持ち出し、天罰を食らいました。正義は我々にあるのです。アグレイシアこそが、マルディアスの頂点に立つべく、皆さんのお力を貸してください』
 彼女と全く違う容姿の女性が放送機器に向かって語るのを、ブリームがにやにやと満足げに見守っている。
 いっそここで斬り捨てられたら。歯痒さを噛み締めていると。
『皆さん、騙されないでください』
 凛とした声が割り込んだ。畳む


#アルファズル戦記
#灰になるまで君を呼ぶ

創作,小説

日が過ぎるのが早いよ~!!
あと20日で一大イベントが来る!! なんも心の準備をしていない!!
年度末年度始めはなにもできない可能性が高いので、せめて灰君を完結させたい!!

日記,ひとりごと2026年