『和洋折衷サラダ』

アイツとケンカした。
原因は、昨夜の晩ごはん。
一つの皿に盛られたサラダ。

かけるドレッシングを、和風かフレンチかで、モメた。

付き合いだして、もう三年。
取り皿に小分けにすりゃ良いなんて、面倒な事するような仲じゃない。
そして、あたしとアイツがこんな些細な事でケンカするのも、珍しくない。

洋風好きなあたしと、純和風好みのアイツ。
二人の趣味は、トコトン合わないのだ。

ソース顔の好きなあたしが、しょうゆ顔なアイツの告白をOKしちゃった。
思えばそれが、そもそものマチガイ。

デートに行けば、邦画と洋画で一戦交えて。
休憩するにも茶房かコーヒーショップかで一悶着。
旅行の計画も一流の、旅館かホテルかで意見が合わず、結局一度も行ってない。
自宅は畳とフローリング。
玄関、引き戸とドア。
トイレ、和式と洋式。
寝る時まで、万年床かベッドかで……。
とにかく、何から何まで気が合わない。

まったく一体、何がそんなに良いんだか。
古臭い伝統の云々を、嬉しそうに語るアイツには、ウンザリした事数知れず。

何でそれでも、うまくやってこれたかというと…。

RRR…RRR…

携帯が鳴った。勿論、アイツから。

Pi。

「…もしもし?」

「…うん、…うん。 んーん、あたしこそ、ゴメンね?」

「………え? フレンチドレッシングも、けっこうイケるねって?」

「あははっ、試してみたの!?」

そう、和風なアイツと、洋風なあたし。
どんなにケンカしても、二人がうまくいっちゃう最大の理由。
それは、最後は絶対にアイツから謝ってくるから。
『ヤマトナデシコ』みたいなしおらしさを見せつけるんだもの。
それが凄くカワイクて、こればっかりは和風でも、あたしはついつい許してしまうのだ。

その日あたしは、初めて和風ドレッシングを買った。
アイツのココロイキに敬意を表して、今度はあたしが、和風を試してあげよう。

和風と洋風は、相容れないモノと思われがち。
でも、もしかしたら、同じサラダにかけても…案外イケるんじゃない?