2026年4月の投稿[15件]
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2026年4月26日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
『雪が解けて春になる』、 #語彙トレ2026 で書いた、ゼファーとヒオウのSSの漫画化です。
文章と漫画で、表現の取捨選択をするの、楽しい!
本編の外側で絆を深める番外編をモリモリかくのも、楽しい!
闇ヒオウを描けたのが、個人的にめちゃくちゃ満足しております。この人はたぶん、怒ると静かにブチ切れるタイプ。
そしてヒオウの前では泣き虫なゼファーになっています。一番、弱みを見せられる相手として、信頼してる証拠です。畳む
#アルファズル戦記
#雪が解けて春になる
文章と漫画で、表現の取捨選択をするの、楽しい!
本編の外側で絆を深める番外編をモリモリかくのも、楽しい!
闇ヒオウを描けたのが、個人的にめちゃくちゃ満足しております。この人はたぶん、怒ると静かにブチ切れるタイプ。
そしてヒオウの前では泣き虫なゼファーになっています。一番、弱みを見せられる相手として、信頼してる証拠です。畳む
#アルファズル戦記
#雪が解けて春になる
トレス練習を始めて、約3ヶ月。
年度末年度始めのドタバタの間も、なんとか続けました。
どれくらい進歩があったかわからないが……と色々描いてました。
まずはイラストの方から。
『雪が解けて春になる』より、ヒオウの護衛兼目付役であるニーザとマイケル。ニーザは童顔設定があるのでこれでもいいのですが、マイケルが、パーツが顔の下半分に寄りすぎて幼くなりました。
この二人は、心の許せる友人のいないヒオウのために、父親が歳の近い従者をつけた、という裏設定が爆誕したので、25~28歳くらいのはずです。(ヒオウ27歳)
もうちょいがんばります。
これはゼファーの竜兵のきょうだい、次兄のパイソン。
うさんくささ大爆発ですね! 脳内CVも、FF14のアサヒの柳田淳一さんをアテ書きしているので、色々お察しください。あと本文には「猫背」って書いたのに、めっちゃ健康的に反ってて笑いました。
彼は四半世紀前のエターナった版にはいなかったのですが、誕生して出てきた瞬間、めっちゃフリーダムに煽り散らかしてくれました。楽しかったです。
畳む
この記事を編集している間に、漫画も描いたことを思い出したので、夕ごはんを食べたら載せます。
#アルファズル戦記
#雪が解けて春になる
年度末年度始めのドタバタの間も、なんとか続けました。
どれくらい進歩があったかわからないが……と色々描いてました。
まずはイラストの方から。
『雪が解けて春になる』より、ヒオウの護衛兼目付役であるニーザとマイケル。ニーザは童顔設定があるのでこれでもいいのですが、マイケルが、パーツが顔の下半分に寄りすぎて幼くなりました。
この二人は、心の許せる友人のいないヒオウのために、父親が歳の近い従者をつけた、という裏設定が爆誕したので、25~28歳くらいのはずです。(ヒオウ27歳)
もうちょいがんばります。
これはゼファーの竜兵のきょうだい、次兄のパイソン。
うさんくささ大爆発ですね! 脳内CVも、FF14のアサヒの柳田淳一さんをアテ書きしているので、色々お察しください。あと本文には「猫背」って書いたのに、めっちゃ健康的に反ってて笑いました。
彼は四半世紀前のエターナった版にはいなかったのですが、誕生して出てきた瞬間、めっちゃフリーダムに煽り散らかしてくれました。楽しかったです。
畳むこの記事を編集している間に、漫画も描いたことを思い出したので、夕ごはんを食べたら載せます。
#アルファズル戦記
#雪が解けて春になる
ブルスカで走っている、『雪が解けて春になる』番外編ですが、灰君より人物が多すぎて、誰の話してるんだこれ? 状態になったので、本編下巻から、人物紹介を引っ張ってきました。多少簡略化しているところもあります。
これでも、どの話が誰なんだよ!? 状態ですが!
ゼファー 十八歳
主人公。フィムブルヴェートを滅びの『霧』から守る竜族の竜兵(ドラグーン)。始祖種ダイナソアの血を引いており、性別が確定していない。(無性) 考え事をする時に耳を触る癖がある。
様々な功績の結果、フィムブルヴェート同盟軍の盟主となった。
ヒオウ・ダガート・トス・ヴィフレスト 二十七歳
ヴィフレスト王国先王の第二王子。兄とは正反対の人格者。
別名イスミ・コウ。幼い頃に出会ったゼファーを女性と見て好意を抱いている。
ウィルソン・ガルフォード 二十五歳
かつて『虹王国稀代の軍師』と呼ばれた名軍師。自分の策で妻を失い隠遁していたが、ゼファーに叱咤されて戦場に復帰し、同盟軍の筆頭軍師となる。
キルシス 十九歳
竜兵の青年。ゼファーのすぐ上の兄。大柄で豪快、難しいことを考えるのが苦手だが、情には篤い。
マギー 十六歳
本名マグノリア。ダイナソアの言葉を解読できるため、ヴィフレストに利用されていたが、今は同盟軍の一員となっている。キルシスとは顔を合わせれば憎まれ口の叩き合いをしながらも、憎からず思っているようだ。
アバロン 二十三歳
竜兵の長兄。元々は有翼人・防人(さきもり)の孤児。魔法の力も、笑顔で放つ毒舌も強烈。
モリエール・ガルフォード 十九歳
ウィルソンの義妹。自らも軍師の才を持つ。義兄に想いを寄せていることは、当人達を含めて周知の事実。
クリミア 二十歳
竜兵の紅一点。気の強さと毒舌は長兄にも負けていない。
エリア・レラノイア 十九歳
美貌を持つ先代防人盟主の娘。裏切り者の反乱により追われる身だったが、ゼファーの活躍により、新たな盟主となる。
ルーカス・ロイド 二十四歳
エリアの護衛筆頭。防人でありながら魔法が使えないが、代わりに鍛えた剣術でエリアを守り、彼女からは信頼以上の想いを寄せられている。
メディリア 年齢不詳
現竜王(ドレイク)の女性。ヴィフレストを興した英雄リヴァティの双子の妹。
ヴァーリ・ヴァン・ウル・レクス・ヴィフレスト 二十九歳
ヴィフレストの現国王。父親を殺して王位を簒奪し、大陸制覇を目論む。その戦闘力は人間離れしており、性格も残虐で、『鬼王(きおう)』の異名を持つ。
パイソン 二十二歳
竜兵の次兄。卑屈で卑怯なところがあり、メディリアも動向を懸念している。
カイト・ロヴァージュ 享年十六歳
従兄のヒオウを救うため、竜族の聖域に助力を願いに来た少年。ゼファーが旅立つきっかけを作るが、ヴァーリの手からゼファーを守って落命した。
シグナ・エレイル・ウナ・ヴィフレスト 十七歳
ゼファーに似た容姿を持つ、ヴィフレスト王女。ほとんど民の前に姿を現さない。畳む
まって、本編バレになる範囲はだいぶ削ったけど、番外編には出てるけど名前出してないから「誰だお前」ってのがいるwww
致し方なし! この後もこっそり書き換わってたりするかもしれませんが、ご容赦を。
これでも、どの話が誰なんだよ!? 状態ですが!
ゼファー 十八歳
主人公。フィムブルヴェートを滅びの『霧』から守る竜族の竜兵(ドラグーン)。始祖種ダイナソアの血を引いており、性別が確定していない。(無性) 考え事をする時に耳を触る癖がある。
様々な功績の結果、フィムブルヴェート同盟軍の盟主となった。
ヒオウ・ダガート・トス・ヴィフレスト 二十七歳
ヴィフレスト王国先王の第二王子。兄とは正反対の人格者。
別名イスミ・コウ。幼い頃に出会ったゼファーを女性と見て好意を抱いている。
ウィルソン・ガルフォード 二十五歳
かつて『虹王国稀代の軍師』と呼ばれた名軍師。自分の策で妻を失い隠遁していたが、ゼファーに叱咤されて戦場に復帰し、同盟軍の筆頭軍師となる。
キルシス 十九歳
竜兵の青年。ゼファーのすぐ上の兄。大柄で豪快、難しいことを考えるのが苦手だが、情には篤い。
マギー 十六歳
本名マグノリア。ダイナソアの言葉を解読できるため、ヴィフレストに利用されていたが、今は同盟軍の一員となっている。キルシスとは顔を合わせれば憎まれ口の叩き合いをしながらも、憎からず思っているようだ。
アバロン 二十三歳
竜兵の長兄。元々は有翼人・防人(さきもり)の孤児。魔法の力も、笑顔で放つ毒舌も強烈。
モリエール・ガルフォード 十九歳
ウィルソンの義妹。自らも軍師の才を持つ。義兄に想いを寄せていることは、当人達を含めて周知の事実。
クリミア 二十歳
竜兵の紅一点。気の強さと毒舌は長兄にも負けていない。
エリア・レラノイア 十九歳
美貌を持つ先代防人盟主の娘。裏切り者の反乱により追われる身だったが、ゼファーの活躍により、新たな盟主となる。
ルーカス・ロイド 二十四歳
エリアの護衛筆頭。防人でありながら魔法が使えないが、代わりに鍛えた剣術でエリアを守り、彼女からは信頼以上の想いを寄せられている。
メディリア 年齢不詳
現竜王(ドレイク)の女性。ヴィフレストを興した英雄リヴァティの双子の妹。
ヴァーリ・ヴァン・ウル・レクス・ヴィフレスト 二十九歳
ヴィフレストの現国王。父親を殺して王位を簒奪し、大陸制覇を目論む。その戦闘力は人間離れしており、性格も残虐で、『鬼王(きおう)』の異名を持つ。
パイソン 二十二歳
竜兵の次兄。卑屈で卑怯なところがあり、メディリアも動向を懸念している。
カイト・ロヴァージュ 享年十六歳
従兄のヒオウを救うため、竜族の聖域に助力を願いに来た少年。ゼファーが旅立つきっかけを作るが、ヴァーリの手からゼファーを守って落命した。
シグナ・エレイル・ウナ・ヴィフレスト 十七歳
ゼファーに似た容姿を持つ、ヴィフレスト王女。ほとんど民の前に姿を現さない。畳む
まって、本編バレになる範囲はだいぶ削ったけど、番外編には出てるけど名前出してないから「誰だお前」ってのがいるwww
致し方なし! この後もこっそり書き換わってたりするかもしれませんが、ご容赦を。
FF14、白銀のワンダラーきたーーーーー!!
トレーラーの中で『約束の地』って言葉が出てきて、突っ伏して呻いたFF7プレイヤーは私です。来るのか? 来るのか、7ネタが……!?畳む
とりあえず、来年の1月には実生活がもろもろ解決して、落ち着いて白銀を迎えられるといいな!
トレーラーの中で『約束の地』って言葉が出てきて、突っ伏して呻いたFF7プレイヤーは私です。来るのか? 来るのか、7ネタが……!?畳む
とりあえず、来年の1月には実生活がもろもろ解決して、落ち着いて白銀を迎えられるといいな!
2026年4月22日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
『雪が解けて春になる』番外編 04/11~04/20
今回は本編上巻範囲やその前のことも書いています。
特に『審判』は好きですね。メディリア様が竜族として、ひととは違う価値観を持っていることを描けたので。彼女の竜兵時代の竜王ファング様も、けっこう破天荒なひとです。
前→647
次→661
04/11-忘我
歌声が聞こえる。この集落一番の歌い手と言っても過言ではない少女が歌っているのだ。
この大陸が『霧』に包まれる前から歌い継がれてきた、英雄歌。誰を謳ったのか、何の英雄なのか、どんな偉業を為し遂げたのか。言葉が違ってわからないのだ。ただ、歌詞だけが意味をなさないまま、世代を渡ってきた。
忘我に耽って聞き入ってしまう。ほかにも手を止め聞き惚れてしまう者達がいる。
そんな中、ぽつ、と頭に水滴が落ちた。かと思うと、あっという間にざあっと空が泣き出す。
この砂漠地帯恒例のスコールだ。たちまち誰もが我に返り、歌声がかき消される帰り道を走った。
04/12-収奪
ヴィフレスト王国は、破壊の権化『ユミール』を倒して『黒き太陽戦役』を終わらせた英雄リヴァティの興した国である。
『霧』に囲まれたこの大陸で、人間を守る盟主国として、また、戦役以降険悪になった有翼人・防人との折衝を務める先陣として、長く守護者の座にあった。
だが、肥料を入れない畑で作物を育て続ければ、いつか土壌は枯れる。
英雄の遺志を忘れた歴代の王は、他国へ侵略し、隷属国として併呑し、富を搾取し、誇りと命を収奪した。
そして今、『鬼王』と名乗る、史上最悪の王が、大陸制覇に乗り出した。
ひとびとは祈るしかない。奴を止める救い主の出現を。
04/13-暗転
母は側室で、正妃に影に日向に嫌がらせを受けていた。手を差しのべる者は少なく、大半が正妃の顔色を窺って、母と自分を蔑んだ。父は凡庸で、あからさまな助け舟は出さなかった。
そんな中で母が心身を病まないはずは無く、一時期母方の祖母の故郷へ療養に退いた。
そこでの出会いは新鮮で、その後の自分の人生に大きな影響を及ぼすほどだった。
やがて母は寛解して、国に戻った。正妃を正面から見据えられる強さを身につけた母は、まるで別人になったかのように頼もしく思えた。
だが、暗転は突然で。
「無理が祟ったのでしょう」
医師は言ったが、母の腕には紫の斑点が浮かんでいた。
04/14-爛れる
村が燃えていた。
ずけずけと食糧を漁りに踏み込んできたヴィフレスト兵士に、駆け回っていた子供がぶつかった。それだけで、子供は斬り捨てられ、火が放たれた。
「ダイナソアの言葉を読めるガキは、重宝できましてよ」
けばけばしい軍師の女が、隊長の男にしなだれかかって笑っている。
深傷を負い、焼け爛れてかっと目を見開いたまま息絶えた弟を抱き締めて、花の名を持つ少女は誓う。
この傍若無人な連中に、必ず報いをと。今は利用されても、必ずマグノリアのように咲き誇って、鋭い一撃を、こいつらの首魁の心臓に突き立ててやるのだと。
04/15-浸透
竜族は得体の知れない種族。そういう考えはまだひとびとの間に浸透している。
だからクリミアも、竜兵として母たる竜王メディリアの代わりに大陸を巡りながらも、積極的にひとの世界に介入することはあまり無かった。
だが、元は熊だったろう大きな『鬼』に追われる人間の一家を見つけ、思わず飛び出し、弓を引いた。『鬼』は白い粒子と化し、消えてゆく。
「まだ仲間がいるかもしれない。早くこの場を離れて」
声をかけると、おとな達は青い顔で頷き走り出す。
「おねえちゃん、ありがとう!」
小さいこどもが手を振る。
何故か、胸のあたりがふわりと温かくなった。
04/16-朦朧
燃え尽きて、煙が立ちのぼる集落を、ふらふらと歩く。焼け焦げた、元は人だったものの左薬指に、見慣れた揃いの銀の指輪を見つけた時、自分でも訳のわからない叫びが口から迸るのを、他人事のように感じていた。
軍師の座を捨て、国を離れて裏通りに引きこもり、くすんだ指輪をもてあそびながら、朦朧とした意識の中で、彼女が責めてくる幻聴に苛まれた。
それを鋭い呼びかけで断ち切り、現実に引き戻した、銀髪に金の瞳の竜兵。己の弱さも未熟さも無知も認めた上で、導き手として自分を求めた。
もう一度、立てるだろうか。『虹王国稀代の軍師』は。
もう、身近な誰かを失わせずに。
04/17-渇望
もっと力が欲しかった。
主君の従兄を守れるくらいに。彼自身も、周りの護衛騎士達も強いのに、自分は茶を注いで彼の馬のくつわをとることくらいしかできない。
主君の師匠に槍を教わったが、
『あんたは素質が無いよ』
とばっさり切り捨てられた。代わりに飛び道具の扱い方を教えてもらった。
あの方の剣であり盾でありたいのに、
『お前はそのままで良い。人をあやめる術を覚えなくて良い』
そう諭されて、逆に強さへの渇望は増した。
だからかもしれない。竜族の聖域へ助力を借りに行く者を募る時に、ひとりで行くと言い張った。
あの方を守る力があるのだと、証明したくて。
04/18-審判
当代の竜王メディリアが、まだ先代竜王の竜兵だった頃。竜族の聖域に、人間の盗賊達が入り込んだことがある。
竜は大陸中のお宝を集めていると思い込んだ連中の、身勝手な侵入だった。
メディリアはきょうだいの竜兵達と共に、盗賊達を迎え打った。結果は火を見るより明らかで、愚か者共は全員あえなく縛り上げられた。
「どうしてやろうか」
竜王は盗賊達の前で腕組みし、にやりと牙を見せて、「メディリア」と己が子の名を呼んだ。
「湖に投げ込め」
聖域の湖は、『竜王に害意のある者を決して通さない』。
「御意」
メディリアも、下される審判を思い、牙を剥き出して笑った。
04/19-浄化
掲げた手から、踊るように水魔法が放たれる。水流はひとびとのあいだをうねりながら通り過ぎて、砂にまみれた彼らの身体を浄化してゆく。
「エリア様は、さすが盟主様のご息女だ」
「次代の防人を導くお方として、申し分無い魔力を持っていらっしゃる」
翼持つ民、防人が、南方砂漠に追いやられて四百年。かつてひとりの男の野望により、フィムブルヴェートの支配者の座を追われた彼らは、自分達が人間より優れているというプライドを捨てられず、力を持つ者を持ち上げ、持たざる者を貶める。
美しい少女を遠くから見つめる、魔法の使えない少年は、それでも彼女の隣を、諦めたくはなかった。
04/20-冒涜
「竜族の盟主サマなんて、信用置けないよなあ」
「ヒオウ様にもエリア様にもいい顔してさ」
人間達が聞こえよがしに言い合っているのを、鋭い聴覚は拾い上げる。胸に棘が刺さって、唇を噛み締めた時。
「では、ゼファーを信頼している私やエリア殿、軍師であるウィルも信用ならぬということだな」
安心させるように、肩に大きな手が置かれる。見上げると、紫の瞳は冒涜した連中を睨み付けている。
「そ、そういう訳では」
「申し訳ございません、ヒオウ王子!」
連中が慌てて去る。
「……ありがとう、コウ」
おずおずと礼を述べると、険の消えた瞳が、優しく笑み返してくれた。畳む
今回は本編上巻範囲やその前のことも書いています。
特に『審判』は好きですね。メディリア様が竜族として、ひととは違う価値観を持っていることを描けたので。彼女の竜兵時代の竜王ファング様も、けっこう破天荒なひとです。
前→647
次→661
04/11-忘我
歌声が聞こえる。この集落一番の歌い手と言っても過言ではない少女が歌っているのだ。
この大陸が『霧』に包まれる前から歌い継がれてきた、英雄歌。誰を謳ったのか、何の英雄なのか、どんな偉業を為し遂げたのか。言葉が違ってわからないのだ。ただ、歌詞だけが意味をなさないまま、世代を渡ってきた。
忘我に耽って聞き入ってしまう。ほかにも手を止め聞き惚れてしまう者達がいる。
そんな中、ぽつ、と頭に水滴が落ちた。かと思うと、あっという間にざあっと空が泣き出す。
この砂漠地帯恒例のスコールだ。たちまち誰もが我に返り、歌声がかき消される帰り道を走った。
04/12-収奪
ヴィフレスト王国は、破壊の権化『ユミール』を倒して『黒き太陽戦役』を終わらせた英雄リヴァティの興した国である。
『霧』に囲まれたこの大陸で、人間を守る盟主国として、また、戦役以降険悪になった有翼人・防人との折衝を務める先陣として、長く守護者の座にあった。
だが、肥料を入れない畑で作物を育て続ければ、いつか土壌は枯れる。
英雄の遺志を忘れた歴代の王は、他国へ侵略し、隷属国として併呑し、富を搾取し、誇りと命を収奪した。
そして今、『鬼王』と名乗る、史上最悪の王が、大陸制覇に乗り出した。
ひとびとは祈るしかない。奴を止める救い主の出現を。
04/13-暗転
母は側室で、正妃に影に日向に嫌がらせを受けていた。手を差しのべる者は少なく、大半が正妃の顔色を窺って、母と自分を蔑んだ。父は凡庸で、あからさまな助け舟は出さなかった。
そんな中で母が心身を病まないはずは無く、一時期母方の祖母の故郷へ療養に退いた。
そこでの出会いは新鮮で、その後の自分の人生に大きな影響を及ぼすほどだった。
やがて母は寛解して、国に戻った。正妃を正面から見据えられる強さを身につけた母は、まるで別人になったかのように頼もしく思えた。
だが、暗転は突然で。
「無理が祟ったのでしょう」
医師は言ったが、母の腕には紫の斑点が浮かんでいた。
04/14-爛れる
村が燃えていた。
ずけずけと食糧を漁りに踏み込んできたヴィフレスト兵士に、駆け回っていた子供がぶつかった。それだけで、子供は斬り捨てられ、火が放たれた。
「ダイナソアの言葉を読めるガキは、重宝できましてよ」
けばけばしい軍師の女が、隊長の男にしなだれかかって笑っている。
深傷を負い、焼け爛れてかっと目を見開いたまま息絶えた弟を抱き締めて、花の名を持つ少女は誓う。
この傍若無人な連中に、必ず報いをと。今は利用されても、必ずマグノリアのように咲き誇って、鋭い一撃を、こいつらの首魁の心臓に突き立ててやるのだと。
04/15-浸透
竜族は得体の知れない種族。そういう考えはまだひとびとの間に浸透している。
だからクリミアも、竜兵として母たる竜王メディリアの代わりに大陸を巡りながらも、積極的にひとの世界に介入することはあまり無かった。
だが、元は熊だったろう大きな『鬼』に追われる人間の一家を見つけ、思わず飛び出し、弓を引いた。『鬼』は白い粒子と化し、消えてゆく。
「まだ仲間がいるかもしれない。早くこの場を離れて」
声をかけると、おとな達は青い顔で頷き走り出す。
「おねえちゃん、ありがとう!」
小さいこどもが手を振る。
何故か、胸のあたりがふわりと温かくなった。
04/16-朦朧
燃え尽きて、煙が立ちのぼる集落を、ふらふらと歩く。焼け焦げた、元は人だったものの左薬指に、見慣れた揃いの銀の指輪を見つけた時、自分でも訳のわからない叫びが口から迸るのを、他人事のように感じていた。
軍師の座を捨て、国を離れて裏通りに引きこもり、くすんだ指輪をもてあそびながら、朦朧とした意識の中で、彼女が責めてくる幻聴に苛まれた。
それを鋭い呼びかけで断ち切り、現実に引き戻した、銀髪に金の瞳の竜兵。己の弱さも未熟さも無知も認めた上で、導き手として自分を求めた。
もう一度、立てるだろうか。『虹王国稀代の軍師』は。
もう、身近な誰かを失わせずに。
04/17-渇望
もっと力が欲しかった。
主君の従兄を守れるくらいに。彼自身も、周りの護衛騎士達も強いのに、自分は茶を注いで彼の馬のくつわをとることくらいしかできない。
主君の師匠に槍を教わったが、
『あんたは素質が無いよ』
とばっさり切り捨てられた。代わりに飛び道具の扱い方を教えてもらった。
あの方の剣であり盾でありたいのに、
『お前はそのままで良い。人をあやめる術を覚えなくて良い』
そう諭されて、逆に強さへの渇望は増した。
だからかもしれない。竜族の聖域へ助力を借りに行く者を募る時に、ひとりで行くと言い張った。
あの方を守る力があるのだと、証明したくて。
04/18-審判
当代の竜王メディリアが、まだ先代竜王の竜兵だった頃。竜族の聖域に、人間の盗賊達が入り込んだことがある。
竜は大陸中のお宝を集めていると思い込んだ連中の、身勝手な侵入だった。
メディリアはきょうだいの竜兵達と共に、盗賊達を迎え打った。結果は火を見るより明らかで、愚か者共は全員あえなく縛り上げられた。
「どうしてやろうか」
竜王は盗賊達の前で腕組みし、にやりと牙を見せて、「メディリア」と己が子の名を呼んだ。
「湖に投げ込め」
聖域の湖は、『竜王に害意のある者を決して通さない』。
「御意」
メディリアも、下される審判を思い、牙を剥き出して笑った。
04/19-浄化
掲げた手から、踊るように水魔法が放たれる。水流はひとびとのあいだをうねりながら通り過ぎて、砂にまみれた彼らの身体を浄化してゆく。
「エリア様は、さすが盟主様のご息女だ」
「次代の防人を導くお方として、申し分無い魔力を持っていらっしゃる」
翼持つ民、防人が、南方砂漠に追いやられて四百年。かつてひとりの男の野望により、フィムブルヴェートの支配者の座を追われた彼らは、自分達が人間より優れているというプライドを捨てられず、力を持つ者を持ち上げ、持たざる者を貶める。
美しい少女を遠くから見つめる、魔法の使えない少年は、それでも彼女の隣を、諦めたくはなかった。
04/20-冒涜
「竜族の盟主サマなんて、信用置けないよなあ」
「ヒオウ様にもエリア様にもいい顔してさ」
人間達が聞こえよがしに言い合っているのを、鋭い聴覚は拾い上げる。胸に棘が刺さって、唇を噛み締めた時。
「では、ゼファーを信頼している私やエリア殿、軍師であるウィルも信用ならぬということだな」
安心させるように、肩に大きな手が置かれる。見上げると、紫の瞳は冒涜した連中を睨み付けている。
「そ、そういう訳では」
「申し訳ございません、ヒオウ王子!」
連中が慌てて去る。
「……ありがとう、コウ」
おずおずと礼を述べると、険の消えた瞳が、優しく笑み返してくれた。畳む
2026年4月20日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
今週のケントゥリア
アアアアアラクリマちゃんの救いが無い! ジーラさんがアルトゥスを助けようとしてるところに、光明が見えないかな~!? でもジーラさん、アルトゥスかばってしにそうだな……。
ここに来て、ミラさんの話が出てきたか~。女しか夜の神の神体保持者になれないなら、巷で囁かれているルカ=しんでしまったと思われているミラの息子説が俄然強くなってくるんですよね。だとしたらルカは、今まで以上に、だいぶ物語の深いところに食い込んでるな……。ユリアンより主人公だよ!
そしてララワグさんしにそうだな……。
また「夜」に話そう、って、フラグだよ!
アトリアちゃんが「共犯者」ってのは、「骨」を奪った場面にアトリアちゃんもいたんだろうな……。
ララワグさんもゾッとするくらいのディアナの闇深さを見ていると、ララワグさんがしんで「骨」がディアナに移って、最終的に、神体を全部集めて夜の神になったディアナがラスボスが、ワンチャンいやそれ以上の確率であるのでは!?畳む
アアアアアラクリマちゃんの救いが無い! ジーラさんがアルトゥスを助けようとしてるところに、光明が見えないかな~!? でもジーラさん、アルトゥスかばってしにそうだな……。
ここに来て、ミラさんの話が出てきたか~。女しか夜の神の神体保持者になれないなら、巷で囁かれているルカ=しんでしまったと思われているミラの息子説が俄然強くなってくるんですよね。だとしたらルカは、今まで以上に、だいぶ物語の深いところに食い込んでるな……。ユリアンより主人公だよ!
そしてララワグさんしにそうだな……。
また「夜」に話そう、って、フラグだよ!
アトリアちゃんが「共犯者」ってのは、「骨」を奪った場面にアトリアちゃんもいたんだろうな……。
ララワグさんもゾッとするくらいのディアナの闇深さを見ていると、ララワグさんがしんで「骨」がディアナに移って、最終的に、神体を全部集めて夜の神になったディアナがラスボスが、ワンチャンいやそれ以上の確率であるのでは!?畳む
2026年4月17日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
土曜日から後、日記書いてなかった!
一大イベントが終わって気が抜けたのと、疎外感で、メンタルグダグダになって転げ回っていた1週間でした!
折角高評価いただいて、「他人と比較するのではなく、昨日の自分と比べてできるようになったことを積み上げていきましょう」って、2週間毎日のように言われたので、ほんと、がんばる……。
今日参加した説明会、どうしても譲歩できない部分があって、エントリー見送っちゃったけど、もう、そこを諦めるしかないのかな。
その道を諦めたら、条件はすごく良かったんですよ。
貪欲すぎるのかな、身の程知らずなのかな、わたし。
悩んでしまう。
#生きる
一大イベントが終わって気が抜けたのと、疎外感で、メンタルグダグダになって転げ回っていた1週間でした!
折角高評価いただいて、「他人と比較するのではなく、昨日の自分と比べてできるようになったことを積み上げていきましょう」って、2週間毎日のように言われたので、ほんと、がんばる……。
今日参加した説明会、どうしても譲歩できない部分があって、エントリー見送っちゃったけど、もう、そこを諦めるしかないのかな。
その道を諦めたら、条件はすごく良かったんですよ。
貪欲すぎるのかな、身の程知らずなのかな、わたし。
悩んでしまう。
#生きる
2026年4月11日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
#語彙トレ2026 『雪が解けて春になる』番外編 04/01~04/10分です。
灰君が一旦終息したので、北の大陸の番外編を始めました。
GWの文フリで刊行する下巻の範囲に足を突っ込んだ話が多いのは、上巻範囲縛りにすると、掘り下げる事が少ないからです!
次→650
04/01-鮮烈
『私はこの世界「アルファズル」で起きた、大きな戦乱と、その先にある始祖種と神の戦いを、生涯を懸けて、物語として記すことにした。
その為に、東西南北四つの大陸を旅し、現地のひとびとから伝説を語り聞いて、懸命に書き留めた。
北の大陸フィムブルヴェートで聞いた伝承も、始祖種ダイナソアの竜兵と人間の王子の愛の物語は、私の心に鮮烈な印象を焼きつけた。
しかし、それは本伝「雪が解けて春になる」に書くとして、この番外編では、本伝で語られることの無い小さな出来事を記してゆこう。』
(シフィル・リードリンガー著『アルファズル戦記 異聞録』)
04/02-呪文
呪文のように繰り返された。
「そなたは英雄リヴァティの正統なる子孫。生まれながらにしての王の器なのですよ」
だから傲然とあった。なのに格下の連中は自分を恐れて離れていった。
「下々の顔色など疑わなくて良いのです。失礼な者は切り捨てなさい」
言われた通りにした。誰も自分をまっすぐに見なくなった。正面から見てくるのは、弟だけになった。
「あのような下賎な血を引く者と、そなたが、対等などとあり得ないのです」
心地の良い呪いの言葉にすがった。
結果、母は毒の入った茶を飲んでひっくり返った。
命じたのは自分だ。
ああ、やっと解き放たれる。
04/03-追憶
母の祖国へ、一度だけ行ったことがある。叔母を埋葬するためだ。彼女が悪意を受け続けた国に弔うのは嫌だと、母が言ったのだ。
薄ピンクの桜が舞う中、母方の祖父が立ち会った。叔母は庶子で皇女とは認められなかったが、祖父はきちんとこのひととその母親を愛していたのだと思い知った。
墓石の前で、はなをすすり上げながら泣く、幼い従弟の手を握り、この子は自分が守らないといけないと誓った。自分に優しかった叔母の分まで。
なのに。
兄の凶刃の前に、従弟は桜のように儚く散った。
追憶の中で、あの子は今も朗らかに笑っているのに、もう握る手はここに無い。
04/04-摩耗
「お前は本当に馬に乗るのが下手だな」
親友兼相方のマイケルに馬上から見下ろされて、ニーザは軽く舌打ちした。
「なんでお前はそんなしれっと乗りこなしているんだ」
主君のヒオウ王子さえ、やんちゃな馬に振り回され、手こずっている。ニーザに至っては、何回振り落とされたかわからない。心が摩耗して折れても仕方無いくらいだ。
なのに、このなんでもそつなくこなす幼馴染は、主君の先すら超えて、馬をどうどうとなだめている。
『マイケルは本当にすごいな』
お世辞でもなんでもなく、あるじは言うのだ。
『ニーザも。よく諦めない』
本当に、悪気が無いから、困ったひとだ。
04/05-逆説
「おはよう、コウ」
やたら野太い声が聞こえる。自分をその名で呼ぶ者は、ひとりしかいない。
振り返ると、筋骨隆々として、自分より背の高くなった、銀の髪に金の瞳の竜兵が、軽々と自分を抱き上げた。
「ゼファー!?」
驚いた自分の声が高い。
「はは、コウは可愛いね」
言われて自分の身をあらためる。髪が伸びて、男には無い凹凸がある。
悲鳴をあげたところで、寝台の上にがばりと起き上がって目が覚めた。
「願望が逆説的に叶った夢じゃないですか」
あまりにもあんまりだったので、軍師にこぼしたら、彼は腕組みして『そんな話を俺にするな』とばかりにうんざりしていた。
04/06-桎梏
『隷属国の娘の子が、王子面をして』
血筋を尊ぶ連中は、そう言って嗤った。
『あなた様こそが、この国の希望なのです』
民は兄のいない隙に、すがりついてきた。
どう足掻いても自由にならない、桎梏で雁字搦めにされた人生で終わるのだと思っていた。
それなのに。
「コウ!」
君が私のもうひとつの名前を呼ぶ度に、どれだけ嬉しくなったことか。その笑顔に、磨り減った精神をどれだけ救われたことか。
だから、君の力になろう。若くして大陸の命運を背負った君の槍に、盾になって、守り抜こう。
幼い頃、誰かを守ることの大切さを教えてくれた、君のために、この命を懸ける。
04/07-沈殿
母の言葉は呪いだった。
『神にもなれる血筋なのに、兄の役にすら立てないとは、そなたは失敗作であることよ』
『ああ、ああ、あの女の息子のようにうざったい。その顔をわたくしに見せるでない』
『おまえなぞ、産むのではなかった』
自分勝手な言葉は、わたしの心の泉に、毒を沈殿させていった。
王宮の奥に押し込められて、使用人にも無視されて、泣いてばかりの日々。
『ぴいぴい泣くな。うっとうしい』
そうぶっきらぼうに言いながら、白い薔薇を手折って差し出した兄の顔は、逆光でどういう表情をしているかわからなかった。
だけど、たしかに彼はわたしの太陽になった。
04/08-昏迷
この大陸は、ひとを『鬼』にする『霧』に覆われている。いつからそうなのかわからない。ただ、かつて外の大陸との交流はあり、『霧』によってそれが全て遮断されたのはたしかだ。
僕の叔母も、水を汲みに行って、うっかり『霧』に触れてしまった。叔父がどんなに呼びかけても、昏迷に陥ったように応じず、虚ろな顔は次第次第に白く変わっていった。
『娘にこんな母親を見せるくらいなら』
叔父は剣を持ち出し、反応しない叔母を斬った。白い血を噴き上げながら仰向けに倒れてゆく叔母は、ひとならざる顔で、ゆるりと優しく微笑んで。
『……ゴメンネ』
と涙一筋をこぼした。
04/09-逸脱
竜族は、過ぎたる力を持ってこの大陸を脅かす、摂理から逸脱した存在だと、ひとびとが騒いだ時代があった。
「まだ、竜族が始祖種の代わりに大陸の守護者として生まれたのだと、認識されてない頃だったからね」
湖畔で語る竜王の言葉に、幼い竜兵達は表情を曇らせる。
「だが」
美しい竜王がぱちんと指を鳴らすと、湖面が波立ち、獣の姿を取った。
「『竜王に害意がある者を決して通さない』この湖が、こうして不届き者を追い返し、当時の竜王を守ったのだよ」
「やはり竜王様はすごいんですね!」
興奮気味になる竜兵の長兄に、竜王はゆるりと笑み返してみせた。
04/10-郷愁
ノスタルジア、という地域がある。郷愁の名を冠したその地には、古くから吸血鬼が棲んでいた。
『鬼』とは異なる生態系を持ち、『鬼』とは違ってひとの姿に近く、理性も保っている。だが、ひとの血を好んですすり、不死者の眷属を増やすあたりは、フィムブルヴェートのどの種族とも違う。
彼らがどこから来たのか。『霧』に閉ざされた世界では最早わからない。たしかなのは、彼らがひとに害をなす脅威であることだけだ。
「……害獣と同じだな」
心臓を貫かれて朝日に溶けてゆく吸血鬼を、蒼い瞳で見下ろしながら、吸血鬼狩りの青年は、仕込み杖の刃についた血を振り払って、納刀した。畳む
#アルファズル戦記
#雪が解けて春になる
灰君が一旦終息したので、北の大陸の番外編を始めました。
GWの文フリで刊行する下巻の範囲に足を突っ込んだ話が多いのは、上巻範囲縛りにすると、掘り下げる事が少ないからです!
次→650
04/01-鮮烈
『私はこの世界「アルファズル」で起きた、大きな戦乱と、その先にある始祖種と神の戦いを、生涯を懸けて、物語として記すことにした。
その為に、東西南北四つの大陸を旅し、現地のひとびとから伝説を語り聞いて、懸命に書き留めた。
北の大陸フィムブルヴェートで聞いた伝承も、始祖種ダイナソアの竜兵と人間の王子の愛の物語は、私の心に鮮烈な印象を焼きつけた。
しかし、それは本伝「雪が解けて春になる」に書くとして、この番外編では、本伝で語られることの無い小さな出来事を記してゆこう。』
(シフィル・リードリンガー著『アルファズル戦記 異聞録』)
04/02-呪文
呪文のように繰り返された。
「そなたは英雄リヴァティの正統なる子孫。生まれながらにしての王の器なのですよ」
だから傲然とあった。なのに格下の連中は自分を恐れて離れていった。
「下々の顔色など疑わなくて良いのです。失礼な者は切り捨てなさい」
言われた通りにした。誰も自分をまっすぐに見なくなった。正面から見てくるのは、弟だけになった。
「あのような下賎な血を引く者と、そなたが、対等などとあり得ないのです」
心地の良い呪いの言葉にすがった。
結果、母は毒の入った茶を飲んでひっくり返った。
命じたのは自分だ。
ああ、やっと解き放たれる。
04/03-追憶
母の祖国へ、一度だけ行ったことがある。叔母を埋葬するためだ。彼女が悪意を受け続けた国に弔うのは嫌だと、母が言ったのだ。
薄ピンクの桜が舞う中、母方の祖父が立ち会った。叔母は庶子で皇女とは認められなかったが、祖父はきちんとこのひととその母親を愛していたのだと思い知った。
墓石の前で、はなをすすり上げながら泣く、幼い従弟の手を握り、この子は自分が守らないといけないと誓った。自分に優しかった叔母の分まで。
なのに。
兄の凶刃の前に、従弟は桜のように儚く散った。
追憶の中で、あの子は今も朗らかに笑っているのに、もう握る手はここに無い。
04/04-摩耗
「お前は本当に馬に乗るのが下手だな」
親友兼相方のマイケルに馬上から見下ろされて、ニーザは軽く舌打ちした。
「なんでお前はそんなしれっと乗りこなしているんだ」
主君のヒオウ王子さえ、やんちゃな馬に振り回され、手こずっている。ニーザに至っては、何回振り落とされたかわからない。心が摩耗して折れても仕方無いくらいだ。
なのに、このなんでもそつなくこなす幼馴染は、主君の先すら超えて、馬をどうどうとなだめている。
『マイケルは本当にすごいな』
お世辞でもなんでもなく、あるじは言うのだ。
『ニーザも。よく諦めない』
本当に、悪気が無いから、困ったひとだ。
04/05-逆説
「おはよう、コウ」
やたら野太い声が聞こえる。自分をその名で呼ぶ者は、ひとりしかいない。
振り返ると、筋骨隆々として、自分より背の高くなった、銀の髪に金の瞳の竜兵が、軽々と自分を抱き上げた。
「ゼファー!?」
驚いた自分の声が高い。
「はは、コウは可愛いね」
言われて自分の身をあらためる。髪が伸びて、男には無い凹凸がある。
悲鳴をあげたところで、寝台の上にがばりと起き上がって目が覚めた。
「願望が逆説的に叶った夢じゃないですか」
あまりにもあんまりだったので、軍師にこぼしたら、彼は腕組みして『そんな話を俺にするな』とばかりにうんざりしていた。
04/06-桎梏
『隷属国の娘の子が、王子面をして』
血筋を尊ぶ連中は、そう言って嗤った。
『あなた様こそが、この国の希望なのです』
民は兄のいない隙に、すがりついてきた。
どう足掻いても自由にならない、桎梏で雁字搦めにされた人生で終わるのだと思っていた。
それなのに。
「コウ!」
君が私のもうひとつの名前を呼ぶ度に、どれだけ嬉しくなったことか。その笑顔に、磨り減った精神をどれだけ救われたことか。
だから、君の力になろう。若くして大陸の命運を背負った君の槍に、盾になって、守り抜こう。
幼い頃、誰かを守ることの大切さを教えてくれた、君のために、この命を懸ける。
04/07-沈殿
母の言葉は呪いだった。
『神にもなれる血筋なのに、兄の役にすら立てないとは、そなたは失敗作であることよ』
『ああ、ああ、あの女の息子のようにうざったい。その顔をわたくしに見せるでない』
『おまえなぞ、産むのではなかった』
自分勝手な言葉は、わたしの心の泉に、毒を沈殿させていった。
王宮の奥に押し込められて、使用人にも無視されて、泣いてばかりの日々。
『ぴいぴい泣くな。うっとうしい』
そうぶっきらぼうに言いながら、白い薔薇を手折って差し出した兄の顔は、逆光でどういう表情をしているかわからなかった。
だけど、たしかに彼はわたしの太陽になった。
04/08-昏迷
この大陸は、ひとを『鬼』にする『霧』に覆われている。いつからそうなのかわからない。ただ、かつて外の大陸との交流はあり、『霧』によってそれが全て遮断されたのはたしかだ。
僕の叔母も、水を汲みに行って、うっかり『霧』に触れてしまった。叔父がどんなに呼びかけても、昏迷に陥ったように応じず、虚ろな顔は次第次第に白く変わっていった。
『娘にこんな母親を見せるくらいなら』
叔父は剣を持ち出し、反応しない叔母を斬った。白い血を噴き上げながら仰向けに倒れてゆく叔母は、ひとならざる顔で、ゆるりと優しく微笑んで。
『……ゴメンネ』
と涙一筋をこぼした。
04/09-逸脱
竜族は、過ぎたる力を持ってこの大陸を脅かす、摂理から逸脱した存在だと、ひとびとが騒いだ時代があった。
「まだ、竜族が始祖種の代わりに大陸の守護者として生まれたのだと、認識されてない頃だったからね」
湖畔で語る竜王の言葉に、幼い竜兵達は表情を曇らせる。
「だが」
美しい竜王がぱちんと指を鳴らすと、湖面が波立ち、獣の姿を取った。
「『竜王に害意がある者を決して通さない』この湖が、こうして不届き者を追い返し、当時の竜王を守ったのだよ」
「やはり竜王様はすごいんですね!」
興奮気味になる竜兵の長兄に、竜王はゆるりと笑み返してみせた。
04/10-郷愁
ノスタルジア、という地域がある。郷愁の名を冠したその地には、古くから吸血鬼が棲んでいた。
『鬼』とは異なる生態系を持ち、『鬼』とは違ってひとの姿に近く、理性も保っている。だが、ひとの血を好んですすり、不死者の眷属を増やすあたりは、フィムブルヴェートのどの種族とも違う。
彼らがどこから来たのか。『霧』に閉ざされた世界では最早わからない。たしかなのは、彼らがひとに害をなす脅威であることだけだ。
「……害獣と同じだな」
心臓を貫かれて朝日に溶けてゆく吸血鬼を、蒼い瞳で見下ろしながら、吸血鬼狩りの青年は、仕込み杖の刃についた血を振り払って、納刀した。畳む
#アルファズル戦記
#雪が解けて春になる
2026年4月9日 この範囲を時系列順で読む この範囲をファイルに出力する
一大イベントあと1日!
今日は慣れゆえからの半ギレをしてしまったけど、去年の私ならブチギレていたところを、チャットで助けを求めたから、報連相ちゃんとできてる! 進歩! ってなりました。
ちゃんと気づきと学びを得て、自己理解も深めて帰る2週間で終わりそうです。
#生きる
今日は慣れゆえからの半ギレをしてしまったけど、去年の私ならブチギレていたところを、チャットで助けを求めたから、報連相ちゃんとできてる! 進歩! ってなりました。
ちゃんと気づきと学びを得て、自己理解も深めて帰る2週間で終わりそうです。
#生きる
オアアアアアア!!
久々にユリアンサイドだけの話でほっとする~
……と思ったか? からの地獄!
ララワグさん狂ってたか……。
自分の身体を増殖できるのも、例外なんじゃなくて、もう自分を「生物」と思ってないからなんだろうな。
心が分裂してるけど、だからこそ、前回ディアナにかけた言葉は、その中の本音であってほしい~!
これはララワグさんしぼうフラグ不可避……ディアナに『骨』が行くんだろうな……。
こんな地獄の一丁目を思いつく暗森先生の頭の中って、どうなってるんだ……? 鬼才とはこういう方を言うのだろうな~!畳む